砂に書いたラブレターC



突然いなくなって怒ってるかな……。

どうやったらもう一度君に会える?

どうやったらもう一度君を抱きしめてあげられる?






砂に書いたラブレターその4









この温もりは誰のものなのか。
もしかしたら・・・そんな期待を胸にそっと目を開けた。


「・・・きゅる。」


今日もまた肩を落とし、ため息をつく。


「・・・。何で毎朝俺の顔見るとため息つくの?失礼デショ。」


目の前ではカカシさんが目をつぶったまま不満そうに口をとがらせている。


いい年こいてそんないじけないでよ・・・。
失礼なのはわかってるんだけどねー…。


私はゆっくりとベットから起き上がるとカカシさんの腕の中から抜け出した。


あれから数カ月が経った。


あの日我愛羅くんの腕の中で眠りについた私は、目が覚めるとカカシさんの腕の中にいた。
神隠しの泉の前でみんなに囲まれており、
半泣きのカカシさんの後ろには何故だか暗部のみなさんが整列していた……。

後から聞いた話だけど、私が消えたことを聞いたカカシさんはパニック状態に陥り、
私の捜索のために暗部2小隊を駆り出したとかださないとか……は、ははは。


レッサー1匹に暗部2小隊って……
……暗部のみなさん、あの節はうちの飼い主がご迷惑おかけしました。


暗部に……というよりもカカシさんの状態にひきつつ、
意識を取り戻した私は、しつこく頬擦りするカカシさんをなだめながらも我愛羅くんを探した。
きっと我愛羅くんがここまで連れてきてくれたのだろうと思い、
辺りを見回したがどこにもその姿はなかった。


ナルトくん曰く、
泉に落ちた後、私をすぐに助け出そうと探したが泉の中にはいなかったというのだ。
その後何度も泉の中や周辺をさがしたが全く見つからず、
しばらくしてもう一度泉へ戻ったところ、泉の前で眠っていたらしい。


私がどこにいたのか知るものは誰もいなかった。
もちろん、男の子を見たという人も誰一人いなかった。


我愛羅くんが寝ている私をここに置いていったのか……とも思ったが
我愛羅くんがそんなことをするとは思えない。
もしかしたら、あれは夢だったのだろうかー…。


今となっては、誰もあの出来事を気に留めている人はいないが、
私は、あの出来事が夢だったのか現実だったのか確かめることはできず、
一人悶々とした日々を送っている。


私はあの日感じた我愛羅くんのぬくもりは夢ではなく現実のものであったと信じたい。
この空の下のどこかに我愛羅くんがいるはずだとー…。 






「ふぁー…。、今日から風の国へと行くんだけどどうする?」


カカシさんはあくびをしながらのんびりとベットから降りた。


「キュルー…。」


我愛羅くん……。


「危ない任務ではないけど泊りがけになるし、行っても砂漠くらいしかないから
 イルカ先生かアスマのところに預かってもらう?」

「キュルル……。」


どこにいるんだろう。
今もまた寂しい思いをしているの……?


「……って聞いてないし。まいっか、心配だから連れていくか。」

「キュルー…。」

「それにしても……ってば恋煩いみたい……。
 って、相手は誰っ!?あの時の暗部の中の誰かってことっ!?」


勝手に勘違いをして暴走するカカシさん。


「暗部の男になんては渡さないーよっ!!」


こうして、知らないうちに私の風の国行きは決定し、
あの日の暗部のみなさんは、はた迷惑なとばっちりを受けることが決定的となった。



























「あぁーっ!!やっと着いたってばよっ!」


目的地に着いたのは、
木の葉の里を出てから3日程経った頃だった。

ここの世界の地理に弱い私にはよくわからないが、
ここは風の国というところで
ここにも木の葉の里と同じように忍たちの住む里があるらしい。

そして、その里の近くにはなんとかっていう観光スポットがあるみたいで
さっきからサクラちゃんがカカシさんにせがんでいるのだが……。


「カカシ先生、『想いの丘』に寄っていこうよ。ねっ、いいでしょ?お願ーいっ!!」

「ん〜、任務で来ているんだぞ〜。そんな遊んでる場合じゃないデショ。」


そういえば、この前もサスケくんに必死にアプローチしてた時に
そこの話してたっけ……?


「サクラちゃんサクラちゃん!!その想いの丘?って何だってばよ?」

「『想いの丘』っていうのは、最近話題の観光名所なんだけど。
 そこに、カップルで行くと永遠に結ばれるって噂なのっ!」


サクラちゃんの頭の中にはお花畑が広がっているようだ。
乙女モードに突入している。


「ってことは。じゃあ、一緒に行ったらサクラちゃんと結ばれるってコトかっ!?」


サクラちゃんの隣で
今日もまたナルトくんが素っ頓狂なことを口走っている。


「あんたには用はないわっ。シッシッ!」

「そんなサクラちゃ〜ん……。」


ナルトくん……。
学習能力ってものがないのかしら。
この前と同じこと繰り返してるって。


カカシさんの腕に抱かれながらみんなの様子を観察する。
あの事件以来過保護に磨きのかかったカカシさんは腕の中から離してくれないんだよね。


「ねっ、だからカカシ先生!!ついでに行こうよ〜!!」

「ダ・メ・だ。」


落ち込むナルトくんを尻目にサクラちゃんはさらにカカシさんにおねだりをしている。


サクラちゃん今日もまた頑張るねぇ。

それにしても、ちょっと寄るくらいいいんじゃないの?
せっかくここまできたわけだし。


そう思うのだが、さっきからカカシさんはイチャパラを読みながら
適当にサクラちゃんの相手をしている。
せめて視線くらい上げればいいのにね。


「……フンッ。くだらん。」

「……サ、サスケく〜ん……。」


しかし、すっぽんのようなサクラちゃんの食いつきも、
サスケくんの一言で終わりを告げた。

カカシさんに許可がもらえず、さらにサスケくんに『くだらん』発言をされ落ち込むサクラちゃん。
その横で巻き添えをくらって落ち込むナルトくん。


……ふぅ。しょうがないなぁ。


私はため息をつくと腕を伸ばしカカシさんの頬を突っついた。


「キュキュルル。」


カカッさん。



「んー?なんだも行きたいのか?」


するとカカシさんはささっとイチャパラをしまい、私と向き合った。


「「「…………。」」」

「キュ、キュルー…。」


ちょ、ちょっと寄るくらいいいんじゃないのかなぁ……って思ったんだけど……。


も行きたいって言うならしょうがない。
 さっさと任務を終わらせて今日は砂隠れの里に一泊しますか。」


カ、カカシさん……。
そんなあっさり許可するならさっきは何で却下したの……?


「カカシ先生ってばには甘すぎるってばよ……。」

「「うんうん。」」


は、はははは……。


「ん?なんか言ったか?
 ほら、さっさと任務終わらせないと砂隠れの里にはいけないデショ。」


そう言うと、日頃発揮されることのない機敏さを見せ任務にとりかかったのであった。







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すみません……。
終わらなかったデス。
は、はははは。こんなこともあります(汗
本当にすいません……。



ILLUST BY/ふるるか