6-ハロウィン伝説……





「私、強くなるから!飛段とずっとずっとずーーーーっと一緒にいられるように
強くなるから!」



ーーーっ!!」






ハロウィン伝説……第6話






視界が変わっていく……薄れて行くのと一緒に、カカシの姿がどんどん傾いていくのが解る。


ーーーっ!!」


視界の端に映る銀髪……ああ、そうだったのか。
毎日のように見るあの夢は、彼のことだったのか。


薄れ行く意識の中、私の中で幼い頃の記憶が蘇る……





「ゆーびきーりげんまん、うーそついたらはーり千本のーます!」


「絶対に迎えに来てね!」


「うん!絶対迎えにいくから、ホント!」



あれは私が幼い頃、滝隠れの里を出て、父の生まれ里、木ノ葉へ引っ越すことになってしまった時のこと。
生まれたときからずっと一緒に育ってきた、隣の男の子と別れるのが嫌で、家を飛び出した時のこと。


子供一人がやっと入れる大きさの岩穴の中に入り、一人で泣いていると、飛段が息を切らしながら
探しに来てくれた……


ー?」


「ヒック……飛、段…?」


「出て来いよ……風、引くぞ?」


「い、や!帰ったら、帰ったらこの里を出て行かなきゃなんないもん!そんなのいやだよ!!」



私はそんな彼の優しさに嬉しさを感じながらも帰ることを断る。
両親の元に戻ればこの里をあとにしなきゃならないから。
子供ながらに彼に恋していたのだと思う。


「でもよー、ずっとそこにいるわけには行かねえだろ?」


「それは…そうだけど……」


「親と離れるわけにも行かねえだろ?」


「………」


「……しょーがねぇな。じゃあ、ひとつ約束しようか?」


「約束?」




ーーーーっ!!」


飛段は鎌を地面に投げ捨て、私の下へと駆け寄ってきた。

「ど、どうして……ちゃん」


「寄るんじゃねーっ!!」


ふらつく足取りでこっちに歩み寄ろうとしたカカシに飛段は声を張り上げる。
カカシはビクリと肩を動かすとその場に立ち止まった。


……死ぬんじゃねーぞ……なぁ?」


涙をいっぱい溜めて、飛段は私の体を抱きしめてくれる……



「約束?」


「そーだ。いつか……俺が大人になったらおまえを迎えに行く。おまえを攫いに行ってやるぜ!」


「……でも、そんなことしたら……追い忍たちに……」


「だからよ。それまでに強い忍びになればいい。上忍や暗部なんかよりもずーっとだ!」


「そうすればよー、逃げることが出来るじゃん?」


「う……うん!」



それは2人して抜け忍になろうと言うことだった。
もちろん、里を一度抜けてしまえば、2度と両親にも会えないし、ゆっくりと眠ることすら
許されない生活になってしまうことは理解できた。


けれど……


子供の私にはそんなことより、飛段と一緒に暮らすことが出来るんだと言うことのほうが、
大切だった。


「しっかりしろよ!すぐに、すぐに助けてやるからよー!!」


喉下をクナイで裂かれてしまった私の首に飛段は
自分の額宛てを巻いてくれた…
こんなことで止血も出来なければ、私の命をつなぎとめることすら出来ないのに。
相当、パニックになっているのだろう。



「ゆーびきーりげんまん、うーそついたらはーり千本のーます!」


「絶対に迎えに来てね!」


「うん!絶対迎えにいくから、ホント!」


「私、強くなるから!飛段とずっとずっとずーーーーっと一緒にいられるように強くなるから!」


「ああ。俺もおまえを守れるように強くなってやる!」



「「指きった!!」」



約束をしたあと、私たちは手をつないで仲良く家路へと向かった……








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2006年10月30日
2007年6月29日    ふるるか