7-ハロウィン伝説……





思い出された記憶は幼いころの自分と、

そんな自分より少しばかり年上の飛段との

幼いながらの約束事だった……






ハロウィン伝説……第7話






最初は毎日のように約束を思い出して頑張って忍びへの道を進んでいった。
けれど時とともに……任務が高ランクになるにつれてそのことは頭の隅っこに置かれ、
次第に忘れてしまっていた。


そして、毎晩のように見ていた幼い頃のあの夢は
きっと彼との約束を思い出すように。だったのかもしれない。




そんなことを走馬灯のように思い出し、考えていた。
私のすぐそばでは、手も服も血で濡れた彼が首下に大事に下げているペンダントをはずし、
私の首にかける。


「これで、これで大丈夫だからな。あとはアジトに戻って角都に血管を修復してもらえば……」


「ひぃ、段……」


「心配すんな、約束は守るからよ、ホント」


そういうと彼は私を抱き上げ、その場を去ろうとする。
しかしカカシはそれを引き止めるべく立ちはだかった。


を連れて行かせるわけにはいかなーいね……」


「チッ!てめーに構ってる暇なんてねーんだよ!」


写輪眼を出し、戦闘体勢に入ったカカシを突然、強風が襲う。
空を見上げれば、奇妙な格好の大鳥が空を舞っていた。


「へっ!ちょうどいいところにきたじゃねーか、あん?デイダラよー!」


「ふん!最近のおまえの様子がおかしいからリーダーに頼まれたんだよ、うん」


「悪かったな」と言いながら、目の前にとまったディダラの鳥に乗り、をそっと下ろす。


「その女のためにおかしくなっていたのか、うん?」


「おかしくって……こいつを迎えに来ていただけだよ」


「連れて行くのか?」


「ああ」


彼の言葉に大した反論もせず、ただ一度「ふん」っと鼻を鳴らすとディダラは鳥を浮上させる。


「待てっ!」


「わりぃな!早くを助けてーからおまえの相手してるわけにはいかねーんだよ!じゃーな!!」


そうカカシに告げると、ディダラの鳥は満月の月に吸い込まれるよう、消えていった……






ハロウィン伝説……
それは木ノ葉に新しく伝わることになった
真実……


10の月に、銀髪の吸血鬼が現れ、

30の乙女の命を奪っていく……

そして31番目の乙女はその者に魅せられ、

彼の者と共に、満月の月の中へと消えていく……

そしてその者は二度と見つかることはない……






それから半年後――……



「今日からこのアジトで暮らすことになった者だ…」


と言います!ヨロシクね!!」


飛段のペンダントと角都の能力のおかげで一命を取り留めただったが、
半年の間、意識不明となっていた。
その間、彼女は飛段に看病されていた。


「飛段の女か……」


「そうだぜー。てめーら、髪の毛一本にも触るんじゃねえぞ!」


「ふん!」


「命はおしいですからね、触りませんよ」


「俺は触ったがな」


「あれは仕方なかったからな!今度からは触るんじゃねえぞ!」


を後ろから抱きしめ、メンバーたちに触るなを連発する飛段。
その様はまるで飼い主を守っている番犬のよう……


「触るなって言われて触らない奴がいるかってんだよ、うん」


そういうとディダラはの頬にチュっと可愛い音をたててキスをした。
もちろん突然の行為に驚きを隠せないは目を丸くして驚いていたが、
彼女よりもっとショックを受けたものがいた。
それは他の誰でもない、飛段……


「デイダラ……てめー!!」


「わー、逃げろー、うん!!」


「ぶっ殺す!!」


鎌を取り出し、ものすごい形相でデイダラを追いかけまわす飛段……
そして何故だか満面のいたずらっ子の笑顔を浮かべ、逃げ回るデイダラ……二人とも子供そのまんま。


「もぅ……ふふ!」


はそんな2人の姿を眺めて嬉しそうに微笑んだ。



「暁に恋愛なんて必要ないものだが……たまにはいいかもな」


その後ろでいつもはしかめっ面のリーダーが微かな笑みを浮かべ、つぶやいていた……



ハロウィンは幾多の伝説が語られる月。

その伝説の大半は恐ろしく、哀しいもの。

しかし、

たまにはこんな伝説もいいんじゃない?










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2006年10月31日
2007年6月29日    ふるるか