6-初実戦。





「ねぇ…カカシ先生……波の国にも忍者っているの?」

そんなサクラの言葉がふと耳に入った。






NARUTO-もうひとつの世界-巡り合い-






「いや、波の国に忍者はいない…が、大抵の他の国には文化や風習こそ違うが隠れ里が存在し忍者がいる。
現在忍のいる里は9つ存在しているが…その里の中でも木ノ葉・霧・雲・砂・岩の5ヶ国は、国土も大きく力も絶大な為「忍5大国」と呼ばれている―――
で、里の長が「影」の名を語れるのもこの5ヶ国だけで…その火影・水影・雷影・風影・土影のいわゆる「五影」は全世界、各国何万の忍者の頂点に君臨する忍者達だ。」

サクラの問いにカカシはわかりやすく説明してくれた。
私はすでに知っていたから大して気にもならなかったが、初めて知ったナルトたちは明らかにその話をうそ臭いと感じていたようだ。
その証拠にカカシに指摘された3人は同時にギクリと肩を動かした。

「……ったく…ま…安心しろ。Cランクの任務で忍者対決なんてしやしないよ。」

苦笑しながらサクラの頭に手を置き安心させようとするカカシは…何というか…
一応は教師らしいことしているんだなと感じることができた。

「じゃあ外国の忍者と接触する心配は無いんだァ……よかったぁ」

サクラの言葉にタズナは微かに反応する。
もちろん原作を知っている私、一応この七班のリーダーであるカカシ、そして何よりも洞察力の高いサスケが
その微かな気の揺れを見逃すはずはなかった。

「こりゃあ、なにかあるな…」

そう小さくつぶやきながらカカシは私の手を取ると、サスケの方へ行くよう進めた。
たしかにこれからの出来事を考えれば彼のそばにいるのが一番だといえるだろう。
何?と言ったような表情を一応浮かべながらもおとなしくサスケの隣に移動する。
てか…今から出てくる敵は無能なのか?と思えて仕方がない。
いくら水がないと多くの術を発動できないからってこんな晴々とした日に水溜りも何もないでしょ…
水溜りに視線を向けるとその小さな溜りが波打つ。

来たよぉ……

そう思ったと同時に二つの影が現れ、左右に別れた。
次の瞬間、カカシの体には太い鎖が巻き付いていた。

「!!」

「え!?」

「何だァ!?」

「カカシ!?」

「一匹目ぇ!!」

ナルトたちの驚きの声と同時に敵は自分たちの方へと鎖を引っ張る。
忍びの腕力がどのぐらいなのか知らないけれど、カカシの体は一瞬にして肉の塊となり、地面に散ばった。

「キャ―――――!!!!?」

「カ…カカシ先生ェ!!」

突然の出来事にサクラとナルトは驚きを隠せないでいた。
それはタズナさんもそうなのだろうけど、彼の場合は驚きすぎて声すら出ないようだ。


「二匹目…」

カカシに気を取られている間に敵はナルトの背後に回っていた。
その殺気と突然のことにナルトの表情が強張る。
そして先ほどと同じようにそれぞれが鎖をナルトに巻きつけようとする…が、それはサスケの投げた手裏剣とクナイによって阻まれた。
サスケの攻撃はそこで終わらなかった。
手裏剣とクナイで鎖を木に固定し、身動きを取れなくさせた後、彼は武器の付いたほうの腕に乗っかった上、二人の腕を押さえ、顔面を蹴り飛ばす。
もちろんそれはヒットした。

「グッ!」

サスケでは苦戦すると感じたのか、敵は鎖を外し捨てるとそれぞれが別方向へと向かう。
一人はナルト…もう一人はタズナさんを狙って……

「おじさん下がってェ!!」

意を決したサクラはクナイを手にタズナの前に立つ。
サスケはすぐに体制を整え、サクラの方へ向かい、タズナさんと彼女の前に立った。
しかし、敵の動きは早く、彼に武器を手に取る時間を与えない。
それはナルトも同じだった…否、彼の場合は突然の戦闘に身動きすら取れないでいた。
私以外の誰もがこれまでかと思っただろう。
全員が目を瞑った。が、敵の攻撃はいつまでたっても来ない。それもそのはずだ。2人の敵はカカシの腕に捕らえられていたのだから。

(ったく…こうも原作通りだと気が抜けるな…それにしてもさすがは上忍といったところ?2人の敵、それも男を腕絞めだけで気絶させることが出来るなんて…)

「よっ!」

相変わらずの眠たそうな目で挨拶をする。
彼が生きていたことにそれぞれが今の気持ちを顔に表した。
サクラは先生が生きていたことが嬉しいと、サスケはおまえなんかいなくても勝てたのにと、ナルトは先ほどの肉の塊に見えたものがなんだったのかと後ろを振り返る。

「ナルト…すぐに助けてやらなくて悪かったな。怪我さしちまった…お前がここまで動けないとは思ってなかったからな…とりあえずサスケ、よくやった。
サクラもな…ちゃん、怪我はなかったか?」

「ああ、私なら平気だよ」

敵をタズナさんの前まで運びながらカカシはそれぞれに言葉をかける。
ナルトだけ褒めてもらえなかったが…なにも出来なかったから仕方ないか。
私は褒めるもなにも。勝手に一緒に連れて行くと決められたのだからタズナさんと同じく守られる側になるのが当たり前。
とはいってもただ守られるだけじゃいい気はしないなぁ…
波の国から戻ったら火影のじいちゃんに頼んで、せめて自分の身を守れるようにアカデミーに入れてもらおうかな…

ちらっとナルトの方へ視線を向けると、彼は俯いていた。おそらく先ほどの戦いで何も出来なかった自分に恥、初実戦で華麗に戦ったサスケのことを考えているのだろう。
現に、それに気づいたのか、サスケはナルトに向き直り、嘲笑うかのような表情で声をかけた。

「よォ…ケガはねーかよ、ビビリ君」

「くっ…サスケェエエエ!!!」

「ナルト!!」

ビビリ呼ばわりをされ、顔を怒りに歪めたナルトがサスケに飛び掛ろうとするが、カカシに止められた。

「こいつ等の爪には毒が塗ってある。お前は早く毒抜きをする必要がある」

「え…?」

カカシの言葉にナルトは自分の手の甲を眺める。それに気にする様子もなくカカシの言葉は続いた。

「傷口を開いて毒血をぬかなきゃならない…あまり動くな、毒が回る…と、ところでタズナさん」

「な…何じゃ…!」

カカシに声を掛けられ、たじろぐ。
カカシは尚も冷静に言葉をかける。

「ちょっと…お話があります。」

こういったときのカカシは本当に忍び、それも上級の者だと感じさせられる。
ボーとそんなことを考えながら私は先ほどの敵たちの顔にマーカーで落書きすることを忘れない。
とりあえずそれぞれの額に筋馬≠ニ肉鹿≠ニでも書いて置こうかな……二人合わせて筋肉馬鹿、なーんてね…へへへ。








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2007年11月23日    ILLUST BY/ふるるか