7-ナルトの決意





「こいつ等霧隠れの中忍ってとこか……」

筋肉馬鹿たちを木に縛りつけながらカカシが言う。
彼の言葉に全員の視線がそちらに集まった。






NARUTO-もうひとつの世界-巡り合い-






「何故…我々の動きを見切れた…」

「数日雨も降ってない今日みたいな晴れの日に、水溜りなんてないでしょ」

筋馬が睨みながら言葉を吐き出す。
カカシは何言ってんの?的な感じで質問に答えてやる…私なら答えてやんないけどなぁ。
まぁ、カカシは上忍だし?それぐらい気づいていても不思議はないと思うけどね。

「あんた、それ知ってて何で餓鬼にやらせた?」

タズナさんが不思議そうに尋ねると、カカシは一息おき、口を開いた。

「私がその気になればこいつら等位瞬殺出来ます…が…私には知る必要があったのですよ…この敵の真のターゲットが誰であるのかを…」

カカシはそのまま視線を敵からタズナさんへと向ける。当の彼はと言うと何のことだ?という風を装っているが、微かに手が震えていた。

「つまり、狙われているのはあなたなのか…それとも我々忍の内の誰かなのか…という事です。我々はあなたが忍びに狙われているなんて話は聞いていない。
依頼内容はただの武装集団からの護衛、そして橋を作るまでの支援護衛と言う名目だったはずです…これだとBランク以上の任務になってしまいますね」

「……」

「敵が忍者ならば…迷わず高額なBランク任務に設定されていたはず…。何か訳ありみたいですが依頼でウソをつかれると困ります。
…これだと我々の任務外って事になりますね…」

タズナさんはカカシの言葉になにも返せないでただ立ち尽くしていた。
あくまでも原作どおりのカカシの台詞に苦笑が漏れてしまう。
でも私は知っている、この任務はこのまま続行されると言うことを…


「そ、そうよ!この任務、まだ私達には早いわ…やめましょ!ナルトの傷口を開いて毒血を抜くのにも麻酔がいるし…里に帰って医者に見せないと……」

サクラは先ほどの戦闘でよほど怖い思いをしたのだろう。迷わず里へ帰ろうと言う。
サクラの言葉にカカシは私とナルトへと視線を送る。

「ん〜……こりゃ荷が重いな。ナルトの治療ついでに里へ帰るか」

カカシの言葉にナルトの顔色が変わる。
確かに今の彼の言い方はナルトが足手まといになったと言っているように取れる。
そしてその解釈はナルト自身も感じたのだろう、ギリギリと唇を噛み締めていた。

「ナルト…血、出てるよ…」

「ねーちゃん…」

そっと彼の唇にハンカチを当て、血を拭き取ってあげた…
今にも泣きそうな瞳でこちらを見た後、彼はポーチからクナイを取り出し、そして自身の左手に突き刺した。

「な、ナルト!!」

「どうし…おまえ!!」

「きゃー、何してんのよ!!」

私の声に全員がこちらへ振り向き、映った光景に驚きを隠せないでいた。

その間もナルトは眼を瞑り、唇をかみ締め悔しさをそのまま表情に表していた。
しばらくそのままだったが、ふっと目を開けると、不敵な笑みをカカシへ向けた。

「オレがこのクナイで……オッサンは守る。任務続行だ!!!」

「ナルト…かっこいい!!」

「へへ…ありがとうってばよ。ねーちゃん!」

親指を立てそう言うと彼は満面の笑みを浮かべてくれた。
ナルトの笑顔は本当にかわいいと思う。





「安心しな。そいつを殺してやるよ」

たちがナルトの決意を聞いている時、波の国付近の薄暗い廃墟で一人の男性が大刀を別の男に向けながら、面白そうに言葉を紡ぐ。

「…ほっ…本当に大丈夫だろーな…!敵もかなりの忍を雇ったようじゃし…その上鬼兄弟の暗殺失敗で警戒を強めているとなると…」

半分以上恐怖に満ちた顔の男はなんとか強きな態度をとり、目の前の男に確認をとる。
小柄な中年男性の言葉に大刀を持った男は鼻で笑う。

「このオレ様を誰だと思ってる……霧隠れの鬼人と呼ばれたこの…百地再不斬をな!」

見事な三白眼が男の狂気に満ちた表情をより一層引き立てていた。

「狩の始まりだ……」

狂気の笑みを浮かべたまま男はそう呟くと大刀を肩に担ぎ部屋を後にした。







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2008年1月13日    ILLUST BY/ふるるか