3-木ノ葉。





目が回るほどの景色の変化に少しばかり酔いながらもなんとか火影さまの所に着いた……
もう、いや…






NARUTO-もうひとつの世界-巡り合い-
視点






「はたけカカシ、落ちモノを持ってきました」

「うむ、入ってこい」

コンコンとドアをノックすれば、中から強く、けれどどこか温かみと優しさの感じられる声が聞こえてきた。
カカシに肩を捕まれ、中に入ると、そこは薄暗く、数人の人たちがいることが分かった。
きっと暗部や上忍たちが念のためと言うことで集まっているんだろう…てか、なんもしないよ…出来ないし。

一人無駄な突っ込みをしながら中央に向かっていると声をかけられた。

!?だよね?!」

「…あっ!?うそ…なんでがここに?」

のほうこそ…だってあなた…」

少し躊躇った感じに言うが、それから先は声が小さすぎて聞き取ることが出来なかった。
私が一体…?

?」

「なんで…」

の言葉を不思議に思っていると後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
後ろを振り返るとそこには見慣れた人物が2人……

まで……」

「どうしてがここに…?」

先ほどから私がここにいることが不思議でどうしょうもないといった風に聞こえる……そりゃあ、異世界にトリップして恋してボカスカ戦って――の
ヒロイン像からはかけ離れすぎているけど……いくらこの私でもそこまで不思議がられると傷つくぞ、コノヤロー…

「おぬしら知り合いなのか?」

ここがすっかりあのNARUTOの世界、その上、今は火影の下にいることなどすっかり忘れていた私たちは慌てて向き直る。

「はい、私たちは従姉弟なんです」

「そうか…して、この里になんの用が?」

火影の言葉に少し戸惑ってしまう。
少しの間のあと、が口を開く。

「それが…私たちにもよく解らないんです。突然の嵐と落雷、その衝撃からか、大きなクレーターが出来て、中を覗いてみたら…
誰かに呼ばれた、そんな感覚と眩暈がおき、気がついたときには此処にいました。
何が起きたのかとか何が目的なのかとかは私たちのほうが知りたいぐらいです」

「ふむ…おぬしたちが本当に何も知らないと言うのであれば、此処にきてしまったことに対して、1つだけ、理由がある…
イルカよ、木の葉丸を連れてきてはくれぬか?」

「はい!」

何時の間にそこにいたのか…私たちが気付かなかっただけかもしれないが、イルカは返事をすると瞬身の術でその場をあとにする。

「さて、イルカが戻ってくるのを待っている間、おぬしらの名前を教えてもらおうかの」

「私はです」

「うちは

「俺はだ」

「あー、で…す」

にっこりと微笑む火影にそれぞれが自己紹介をする。
その間、2分も経たないが、イルカが木の葉丸を連れ、戻ってきた。
暗部、上忍がそろっている部屋に入ってきた木の葉丸は少しばかり震えていた。

「じ、じじい…」

「木の葉丸、おぬし今朝…わしが置き忘れた巻物を触ったじゃろ?」

「ご、ごめんなさい、コレ……」

今にも泣き出しそうに謝る木の葉丸の頭を優しく撫でる火影。
元々怒る気ではなかったのだろう。

「木の葉丸…やってしまったことをいまさら怒るつもりはない…
しかしじゃ、あそこにいる4人にはとんだ迷惑なことじゃぞ?ちゃんと謝りなさい」

火影にそう言われ、木の葉丸は少し怯えた感じで私たちの方へ向き直り頭を下げた。
もちろん私としてはどうこう言ったって始まりも終わりもしないことは解っているので、大丈夫だよ
と声をかけてあげようと口を開いたが、が先に言葉を発した。

「子供の悪戯…で終わらせないで!うちらに対して本当に悪いと思っているなら元の場所へ戻る方法を教えて欲しい」

冷静に、けれども怒りを感じられる声色のの言葉に木の葉丸は一瞬肩を揺らす。
火影はそんな木の葉丸の頭に手を置き、口を開いた。

「うむ、その気持ちはよく分かっておる、しかしじゃのぉ……
あの巻物は未完成なもので、今のところおぬしらを
元の世界に戻す方法がわからんのだ……」

「「「「「えええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」

火影の言葉に驚きを隠せなかった。
今のところ――なんて言われても、術が完成するまでどれだけの時間がかかるのか、また完成するのかさえ
分からない……
それまで、ここでどう暮らせば?
私たちの心の中にひとつの不安が生まれた瞬間だった。








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2007年2月7日    ILLUST BY/ふるるか