7-接触。





アジトに戻ると来客がいました。
それは本誌ではいまだに知られていない暁のメンバーたち。






NARUTO-もう一つの世界-暁の奇跡-






サソリの説教も終わり、遅めの夕飯を終わらせたがイタチに呼ばれリビングへと向かうとそこには数人の
人たちが待ち受けていた。

「イタチ?どうしたのって…その人たちは?」

「ああ。この組織のリーダーとメンバーたちだ」

「水≠フアジトのやつらがわざわざ何しに来たってんだ、うん?」

「異世界から来たという小娘を見にな・・・そこにいるのがそうなのか?」

の後ろからひょっこりと現れたデイダラが不思議そうに訊ねると赤に近いオレンジ色の髪の男性が疑問に答える。
もちろんイタチ、鬼鮫、サソリ、デイダラ、ゼツ…そしてもう少し先になるけれどトビ以外のメンバーの顔を知らないには彼が誰だか検討もつかなかった。

「あ、はじめまして。と言います。よろしくお願いしま…す…」

「くすくす。はじめましてだってさぁ。そんな固くならなくてもいいのよ」

「ああ…、ところで小娘。この世界のことはどれだけ知っている」

おそらく暁の紅一点であろう。紫色の髪が印象的な彼女の言葉にオレンジ髪の男性は頷き、きっと本題であろう問いを投げかけてきた。
もちろんこれからも暁にお世話になりたいと思っているは彼らに隠すことなく知っていることを話した。
彼らの運命以外は……

「ところであなたはここに居ることに不自由は感じないの?」

暁の女性メンバー――…芭桐が尋ねる。一瞬なんのことだろうと迷ったがはしっかりと彼女の眼を見ながら答える。

「感じないといえばウソになります…けれど、帰る方法がわからないですし、今は帰ることよりもこの世界に居ることのほうが楽しい?ですし…
それに、この世界に来たのはきっと何かをするためだと思ってます。使命?があるなら私はそれを終えたい…ぐえ!」

「なんか…楽しいに疑問符が混じっていたぞ…うん?」

真剣に芭桐の問いに答えていたの首をデイダラが思いっきり締め上げる。もちろん突然のことに彼女はとんでもなく
色気のない声を漏らしてしまった。

「…デイダラ……死ぬぞ?」

イタチの言葉にの顔を覗きこむとほんのりと青ざめていることに気がつき、慌てて放す。
少し呆れながらもリーダーはまだ聞きたいことがあると言って彼女に質問する。
かなり咳き込んでいたが彼女はなんとか呼吸を戻し、少しでも彼らの信用を得ようと真剣に聞いていたが
先ほどのデイダラの攻撃が酷かったのか、はたまた別のことでなのか、すこしばかり顔色が悪くなっていく。

(ぐるぐる…ぐるぐるぐるぐる……)

「ん?どうした?」

「ぐるぐる…ぐるぐるぐるぐ………」

「お、おい!どうした!?」

今にも倒れてしまいそうなを不振に思い、黙って話を聞いていたサソリが声をかけてみるが遅かったようだ。
彼女はぐるぐると言いながら倒れてしまったからだ。
もちろん突然倒れてしまった彼女の下に駆けつけるが、様子をみたサソリは完全に呆れた様子で「あほくさ…」と言ってソファへと戻ってしまう。
そして近くに居た鬼鮫が彼女の様子を見に行くが……やはりどこか呆れた表情になってしまう。
しかしここはまぁ、紳士的な鬼鮫。サソリのように彼女を放って置かず抱きかかえソファまで運んであげる。

「何があった」

「…気絶したみたいです」

「?なんでだ。うん?」

「…リーダーの目をずっと見ていたからだろ」

サソリの答えに全員が笑ってしまう。

「くくく…面白い娘だ…」

「ふふふ…気に入ったわ。ふふ」

「くく……ここに置いておくのも悪くないんじゃないのか?」

「ははは!確かにそうだな。ここのアジトは面白味がなかったからな。一人ぐらい抜けてるのが居てもいいだろう」

笑いだけではなくは彼らの好感も得ることが出来たようで、正式に火≠フアジトに置いてもらうことが決まった

「鬼鮫。お前に小娘の面倒を任せるぞ」

「え!私ですか!?どうしてまた…」

リーダーの言葉にかなり不満そうな感じの鬼鮫。
そんな彼の心情はどうでもいいと言った風にリーダーはそっとの髪を手に持ちキスを落とす。

「お前は面倒見がいい。大事な情報を抱えてる小動物に逃げられても困る。それにお前なら上手く誘導できるだろう…」

「…利用するためにここに置くと?」

「そうだ…それ以外に何がある」

の頬にそっと触れながらにやりと笑うリーダーの瞳はそのしぐさとは正反対に冷たいものだった。
もちろんそれを見逃すものなどいない。以外には……



それから大体1時間後。は意識を取り戻す。彼女はいつの間にか自室へと運ばれていたようで、
あたりを見回してみると椅子にはイタチが座り、書物を読んでいた。

「あ、私……」

「目が覚めたか…気絶してしまったようでな。リーダーがここまで運んできてくれた」

「リーダーが!?どうしよう!私お礼言って、それに謝らなきゃ!」

突然起き上がろうとしたせいか、眩暈を起こしはまたベットへと倒れこんでしまう。
それを見ていたイタチは椅子から腰を上げ、ベットの脇に座ると彼女の眼を掌で覆い隠す。

「リーダーは帰った。よろしくと言っていた。それと…」

そこで彼は黙り込んでしまう。不思議に思い彼の手を払い、言葉を待ってみるが何も聞こえてはこなかった。
ただどこか寂しそうに彼女の瞳を見つめる漆黒の瞳だけがすべてだった。

「ど、どうしたの?イタチ、なんか変だよ…」

の知ってる限り、暁に入った後のイタチのこのような表情を見たことがなかった。
ただでさえ大好きな人たちと一緒に居ることは夢のような出来事なのに、自分の知らない表情を見ることは
心臓が止まりそうになるくらい新鮮で刺激的なもの。
思わず頬が熱くなる。そんなの心情を知ってか知らずか、イタチをさらに追い討ちをかけるように
彼女の頬をそっと撫で上げる。

(な、なによぉ〜…この人可笑しいってぜったい!!)

口から飛び出してしまいそうなほど暴れる心臓を何とか宥めながらはもう一度どうしたのかと尋ねる。
それでも黙り、見つめていた彼だが、突然彼女の上に覆い被さった。
もちろんその行動にせっかく落ち着き始めていた心臓がまた早く打ち始めた。

「お前にはこれからここで暮らしてもらう。リーダーがそう決めた。数日中にはお前にもマントと指輪を身につけてもらうことになるだろう。
だが心配するな…お前の命と元の世界に戻る方法は俺がなんとしてでも探してやる。
だから今は何も心配せずここで暮らしてくれ…」

「…心配…はしないよ!ここで暮らせるならそれだけで嬉しい!今の私は少しでもみんなと一緒に居たいって思ってるから。
だからイタチの方こそ、そんなに心配しないで!」

「大丈夫だから」と彼女が微笑めば少し安心したのか、イタチはそっと彼女の胸に顔を埋めた。
先ほどから様子の可笑しいイタチが心配で、こんなにも甘えてくる彼に正直驚いていたが、はそれを拒むことはしなかった。
そっとイタチの頭を撫でながら自然と眠りに落ちていった。

「どうしてお前はこの世界に来たのだろう…」

死だけが支配する未来のないこんな世界に・・・・

イタチの問いはそっと夜の静寂に飲み込まれ、の下に届くことはなかった。








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2006年5月22日
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