6-買い物と上忍と団子。団子編。





まさかまさか!!

出会うとは想ってもいなかった!

風になびく艶やかな銀髪…

本気で木の葉に寝返っちゃおっかなぁ…






NARUTO‐もうひとつの世界-暁の奇跡
視点







デイダラに木ノ葉の里までつれてきてもらった私は偶然立ち寄った書店でコピー忍者のはたけカカシさんと
出会い、買い物に付き合ってもらうことになった。
人生で初めての大きな買い物に心が弾んで時間が過ぎていくのを忘れてしまうほど楽しんでいた。

そんな浮かれた私のタイムリミットはあと45分…


「はぁ〜!!!なんかぁ久々に大きな買い物をしたような気分です!カカシさん…付き合ってもらった上に、
荷物まで持ってもらって本当にすみません」

「ああ、これくらい大丈夫!ちゃん一人だけじゃこれだけの荷物持てなかっただろ?」

カカシさんは両手いっぱいの荷物に視線を送る。確かにひとりでは絶対に持てる量ではない。
ホント、こういったときに隣に男性がいてくれると頼もしいなぁ、と思う。

「あ!いいにおい〜!」

「ああ…甘栗甘か。確かこの近くだったな」

「え!?…じゃあ、何か食べていきません?!」

お昼もまだだったし、買い物に付き合ってもらったお礼に。と言えば、少し遠慮がちにもOKしてくれた。


「いらっしゃいませ。ご注文は?」

「ん、とねぇ…俺にはゴマ煎餅とお茶…彼女にはここのお勧めの団子とお茶をお願いするよ」

「ゴマ煎餅とお勧め団子一皿。それにお茶が二つですね。かしこまりました」

店員さんが下がるとカカシさんはきっとずっと聞きたかったことを訊ねてきた。

「ところで君は引越しでもするのかな?それともこの近くに引っ越して来た?」

「え?何でですか?」

「ん〜?だって普通こんなに買い物しないでしょ?」

カカシさんは荷物の山に目をやりながら話す。

「…ああ、そうですよね。確かにこれから親戚≠フ家でお世話になりますね」

「…そっか。それとその傷は?」

「…これですか?じつは…」

それからはあることないことをベラベラベラベラと述べた。
彼が信じたかどうかは別として、自分でもよくこんなに平気な顔で嘘が吐けるものだなって思った。
役者になれるのではと思えてしまったよ。そんな話しをしている間に注文していた煎餅と団子が来て、
それぞれがそれを頬張りながら他にも楽しい話しをしていた。
1本目の団子を食べ終わるころに遠くからカカシさんを呼ぶ声が聞こえてきた。

「あー!やっぱりカカシ先生だってばよ!こんなとこにねーちゃんと一緒ってことはぁ…ぐふふ…デー…ぐっふぅ!!]

金髪と碧眼がやけに目立つ、元気のいい男の子がこちらに駆けて来る…と思いきや、いきなりカカシさんに殴られた…かわいそうに……

「〜〜〜〜っ〜〜〜いってーて!先生!何も殴ることないだろ?」

「お前が変なこというからでしょ!」

(もしかして…ナルト?)

金髪で空色の瞳、変わった口癖の私より少しだけ背が低い男の子。彼はカカシさんに挨拶しろと
もう一発もらう。ナルトだと思われる男の子は頭を抑え、イタイ、イタイいいながらもちゃんと挨拶をする。

「俺、うずまきナルト!よろしくってばよ、ねーちゃん!」

「私はでいいよ。よろしくね、ナルト君!」

「ナルトでいいってばよ!」と元気よく返事を返してくれるナルト…かわいいなぁ。
ナルトは開いていた椅子を持ってきてすわり、団子とお茶を頼んで私たちとおしゃべりを始めた。

「そういえばねーちゃんの名前変わってるよな?!こないだもこの里にねーちゃんみたいに
変わった名前のねーちゃんたちが火影のじいちゃんと話していたってばよ!名前は確か…」

「ナルト、お前の団子がきたぞ…」

変わった人たちの名前を言おうとしていたナルトの話しをカカシが遮る。
彼と話しているのは楽しいけれど、この話題には大した興味もなかったため追求しようとは思わなかった。
けれど今考えると、このときに彼の話をちゃんと聞いていれば、私の運命は大きく変わっていたかもしれない……

このとき既にタイムリミットは残り…15分…

あれから団子とお茶で空腹を満たした私たちは会計をして帰ろうとしていた。

(とりあえずみんなのお土産に団子とお煎餅買ったし…ほかに必要なものはないし…
そろそろ行かないとまずいかな…)

イタチたちへのお土産袋を眺めながらそう考えていると突然隣にいたナルトが声をあげた。

「ああ!!!もうこんな時間だってばよ!早くいかないとサクラちゃんに殺される!!」

その言葉になんとなくポケットの中の携帯を見てみると、時刻は既に3時半を上回っていた。

「…うそ!後2分しかない!待ち合わせに間に合わないよぉ!!!!」

私は急いで荷物を手に持ち、走ろうとしたが…うん、無理でした。

「だいじょーぶ!瞬身ですぐに連れて行ってあげるから。ほれ!俺に捕まって!」

ちょうどよく、トイレから戻ってきたカカシさんはそう言うと荷物の半分以上を片手にもち、もう片方の手で私の手を握り、気を集中し始めた。
すると一瞬、風が止む。そして次の瞬間には先ほどまでの賑わいとは別に静かなそよ風と小鳥の鳴き声が聞こえてくる。
そっと目を開けてみるとそこはさっきまで二人がいた商店街ではなく、はじめにデイダラと別れた里の門前まで来ていた。

「すっごーーーい!!!いったいどうやったの?!」

漫画やアニメで嫌というほどに見てきた技だったけど、間近で、それも自分が体験したとなると、もうこれは感動せずにはいられなかった。
今にも袖をではなくて胸倉を掴みかかりそうになる私の頭をそっと撫でながら「秘密ッ」と、語尾にハートマークがつきそうなほどの猫なで声で答えてくれた。
ちぇー、教えてくれたっていいのにさぁ…

「カカシさん…今日はありがとうございました!すっごく楽しかったです」

「こちらこそ。今日はとっても楽しかったよ。また遊びに来たらデートをしよう」

「じゃ、またね」と、里中に帰ろうとしたが、何かを思い立ったのか、カカシさんは踵を返し、こちらに戻ってきた。

「そうそう、これは初デート記念に。ちゃんに似合うと思うよ」

そう言ってカカシさんは水晶で出来た星型のペンダントをプレゼントしてくれた。そして、一瞬、そう本当にほんの一瞬、唇にキスをする。
もちろん突然のことだったので数秒間ボーとしてしまった。
我に返ったときにはもう、カカシさんの姿はなく、代わりに少し拗ねたような顔のデイダラがいた。

「逃げたのかと思ったぞ。うん」

「なんで?デイダラたちから逃げる理由なんてどこにもないのに?」

「コピー忍者とかなりいい雰囲気だったな…うん」

「買い物手伝ってもらっただけ」

デイダラは荷物をアジトに自動的に送ってくれる巻物を取り出しながらいろいろ聞いてくる。
私はというと彼のそんな問いを軽く流しながら懸命に荷物を巻物に封印していく。

「ん?……オイラその巻物の使い方教えたっけ?うん?」

「あ…教えてもらってないや…」

「何で使えたんだ。うん」

「わかんない…」

もちろん私たちはその場でしばらくの間悩む羽目になってしまう。
そしてアジトに戻った後はサソリの旦那の説教が待っていたとさ…








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2006年5月18日
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2007年7月1日    ILLUSTBY/ふるるか