4-買い物と上忍と団子。買い物編-前編。





トリップ先は…

とんでもない人たちのところだった…






NARUTO-もう一つの世界-暁の奇跡-
視点。







ピィチチチチ……

(…ん?もう朝かぁ……はぁあーあ、よく眠れなんだ…)

小鳥の鳴き声が目覚まし代わりになり、私は目を覚ました。
昨日の夜は傷口が痛んだ上、あまりにも信じられないことが次から次へと起こったので、
眠れない夜を過ごしてしまった…なのでもう一度寝ようと寝返りをうつと、目の前にはイタチの安らかな寝顔…

か、かっこいい!!!!やばいって!やばいって!鼻血出るって!!」

すっかり彼の部屋で寝ていたことを忘れていた私は、その美しい寝顔を間近で見たため、
一気に目が覚めてしまった。思わず鼻に手を当て血が出ていないか確認する私に気付かないくらい深い眠りに落ちてるイタチ。
ビンゴブックに載っている犯罪者がこんなにぐっすりと寝ていていいのだろうか?普通なら眠れないよな…

しばらくそんなことを考えながら彼の寝顔を観察していたが、そろそろ起き上がって薬を飲まないといけない時間だと
言うことで、渋々と心地いいベットから起き上がる。
もちろん、静かな寝息を立てているイタチを起こさないようにそっと……

「んんーー!!!っ…やっぱりまだ痛いなぁ…」

部屋を出て、リビングに向かう途中に伸びをするとズキリと背中が痛む。
その痛みで昨日の出来事を思い出してしまった。

「うう…思い出しただけでよけいに痛みが〜!!」

痛さを抑えるために必死に、背中をなるべく動かさないようにしながら、リビングへと向かう。
忍び…それも暁ということで恐る恐るドアを開けてみると、幸いにまだ誰も起きていなかった。
まぁ、6時前だから当然…なのかな?

とりあえずキッチンでコップに水を注ぎ、サソリの旦那特製の鎮痛剤を飲む……おえ…苦っ!
コップを濯ぎ、お次は着替えと身だしなみを整えるために洗面所へと向かう。

それにしても……
こんなに広いアジトでよく皆迷わないし、恐くないんだな!
私、今鬼鮫と鉢合わせたりなんかしたらきっと驚きのあまりに髪が真っ白になってしまう!――なーんて事を考えていたら
いつもまにか着いていたという……考え事多すぎ?

(あ、そういえばここでわたし、自分のも持ち物って何にもないんだよね…歯ブラシはイタチにもらって…
もちろん、新しいの!着替えはデイダラの貸してもらってるんだよね…
てかなんで女物の服なんか持ってんだろ?やっぱあれかな?)

先ほどの反省…反省なのか?はすっかり頭から離れ、またもや色々考えながら着替えを済ます。
最後には鏡に向ってよし!≠燒Yれない。

身支度を終えてリビングへ戻るとキッチンからカチャカチャとあわただしく動き回り朝食の支度をしてる
鬼鮫の姿が…ちなみにハート柄&ビーズ?をちりばめたピンクのエプロン姿だ。
ん〜、こういうところは夢サイトさんたちの設定と変わらないのね……朝からショックなものを見たなと
想いながらも鬼鮫に挨拶をする。彼の前では礼儀正しくしなければ!となぜか心の中の自分がうるさいので。

「お、おはようございます…鬼鮫さん…その…昨日は失礼なことを言ってしまってすみませんでした」

「ああ、おはようございます。
いえいえ、私もあなたに酷いことをしてしまいましたし…チャラにしましょう」

私の存在に気付いた彼は振り向き、にっこりと微笑みとは言えない感じの微笑みで挨拶を返して来た。
しかしまたすぐにまな板の方へ視線を移す。

「あ!なにかお手伝いします!てか、させてください!」

鬼鮫の横に立ち、彼に何かを手伝わせてくれと頼むと彼は一瞬、私の方へ視線を向けるが、
それはすぐに刻んでいたネギの方へと戻る。

「あなた…酷い怪我してるんですよ?今はとりあえず、ソファでおとなしくしてなさい」

「でも…」

「傷が完全に治りましたらたくさん手伝ってもらいますから」

なおも食い付こうとする私の頭をポンポンと撫で、彼は先ほど刻んでいたネギを味噌汁の中に入れるために、コンロのほうへと向かって行った……
これ以上言っても聞かないだろう――そう思ったのでハイ≠ニ返事をしてリビングへ戻ることにした。
ソファまであとすこしといったところで、ドン!――っとなにかが背中にぶつかり、否、張り付いてきた…
背中って言えば、怪我してるんですが……

っ――――――!!!!!いった―――――いぃぃぃ!!!!

アジト内でエコーが聞こえた……い、いや仕方ないだろ!
まだ完治していない傷口がジュクジュクの背中に思いっきり突進してくるんだから!!

「おほっおほっ…なんなのよぉぉ…」

半泣きになりながらもゆっくりと背中を見てみると長い金髪が視界に入った。ディダラだ……

「おはよ。うん」

優しい笑みと甘えた声とは裏腹に、その手にはしっかりと起爆粘土が握られている…なぜ?

「お、おはよう…ございます…」

「デイダラさん、彼女それでも重傷なんですからもっと優しくしてあげてくださいね」

その粘土で何を!?と言いたい気持ちを抑え、彼に挨拶をする。
鬼鮫もそれに気がついたのか、ため息を吐きながら彼に注意をしてくれた。
鬼鮫ってやっぱ見た目に似合わず優しいんだ……

「分かってるって。うん」

鬼鮫のことに関心している間にディダラは私の頭の上に粘土細工を乗せ、ソファにもたれていた。
相変わらず速いですこと…嫌な予感がするものの、ここでずっと立っているわけにもいかないので
歩こうとしたら……

「あ、そこから一歩でも動いたらそれ爆発するから。うん」

「え!?」

踏み出そうとしていた足が一気に固まってしまった。

「いやいやいやいや!それ、欠伸しながらのん気に言うことじゃないから!
ここでずっとこのままでいるわけに行かないから!てか、取ってくれぇ!!」

「朝から煩いぞ!そこにいると邪魔だ…」

ディダラにつっこみを入れていたら、リビングのドアが乱暴に開き、邪魔だと言うことで押されてしまった…
…この声は…サソリの旦那だな…

「あ…」

「ん?」

「え?…」

「うそ…」

ドスン!ボオオオン!!!!

粘土細工は見事私の頭上で爆破してしまった。

「いったああい!!!痛いよぉ!!!」

背中の傷、折れた肋骨、爆発によるやけどと傷、全部の痛みが一気に襲ってきた。
どうして私がこんな目にあうんだよ!

「大丈夫ですか!」

「ご、ごめん。うん!」

「…」

鬼鮫とディダラがすぐに駆け寄ってきてくれた。
旦那は一体どうしてこんなことになってしまったのか解らない、とでも言いたそうにその場に佇んでいる。

「火傷がかなり酷いですね…早くイタチさんを呼んできてください!」

事態が把握できていない旦那に鬼鮫が指示する。
一瞬、ビクリと肩を揺らしたが、素直に返事をし、部屋を後にした。

「デイダラさん!とにかく傷を冷やさないといけませんので、このシャツを水に浸して持ってきてください。
そのあと、あそこにあるボウルに氷と水を入れて持ってきてください」

デイダラにもテキパキと指示を出す鬼鮫。彼も素直に言われたとおりに動く。

「大丈夫ですよ、すぐに冷やしますから…」

痛みで泣いている私の頬を優しく撫で、彼はそう言ってくれた。
しばらくするとディダラが濡れたシャツとボウルに水と氷を入れて持ってきた。
鬼鮫は「すみません」と言って、私の服を脱ぎ取ると、火傷に冷たいシャツをあててくれる。

数分後、鬼鮫の処置により火傷の痛みは多少はよくなっていた。
そして、旦那から事情を聞いたイタチが何かを持って入ってくる。

「傷の具合はどうだ?」

「とりあえずは部分を冷やし、痛みを和らげてますけど…このままほっておけば痕が残りますね」

「そっか…」

鬼鮫に傷の具合を聞いたイタチはスっと私の横に座り、先ほどから手に持っていた瓶の蓋を開け、
中の液体をゆっくりと傷に塗っていく。
不思議なことに、イタチの指先が触れていくと痛みが消えていくのを感じる。
しかし、未だに何も話すことが出来ない私のことを心配し始めたディダラが涙目になり、オロオロし始めた。

「これでとりあえずは安心だ。うちは一族に代々伝わる秘薬だからな。
もう痛みは感じないだろ…傷もすぐに癒える」

「ごめんよ、イタチ…うん…」

メンバーに向き直り、そう告げたイタチに謝るディダラ。
イタチは苦笑し、視線を私の方へと向け、「謝るのは俺にではないだろう」と言う。
ディダラはかなり気まずそうに私の方を見てきた。戸惑うようにして彼は私のそばに来ると、その大きな瞳に涙を浮かべ謝ってきた。

「ごめんな、うん」

「……」

大丈夫だよ、って言いたいけど…顔の皮が引き攣るため、返事が出来ない。
無言でいる私を見て勘違いした彼は、許してもらえないと思い、肩を落とし、落ち込んでしまう。

「とりあえずは彼女を部屋まで連れて行く。おまえらは先に朝食を済ませていいぞ」

イタチはそんなディダラの肩を無言で軽く叩き、私を抱えると部屋を後にした。








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2007年4月1日    ILLUST BY/ふるるか