4-買い物と上忍と団子。買い物編-後編。
イタチはそんなディダラの肩を無言で軽く叩き、私を抱えると部屋を後にした。
NARUTO-もう一つの世界-暁の奇跡-
「デイダラ…なんであんなことをしたんだ?」
鬼鮫に事情を聞いたのであろうサソリは問う。
ディダラは肩を落としたまま、彼の問いに答える。
「オイラはただ…昨日の反応がおもしろかったから…今日も脅してやろうって…反応見たらすぐ鳥を取るつもりだったんだ!うん」
「……なんだ?じゃあ、おまえは俺が悪いって言いてえのかよ!」
「ち、違う!違うけど……」
ディダラの言葉に青筋をたて、胸倉を掴む勢いで食って掛かるサソリ。
そんな二人のやりとりを黙ってみていた鬼鮫が口を開く。
「止めて下さい!お二人とも悪いんですから…」
「んだとっ!!」
今度は鬼鮫の胸倉を掴むサソリ。
鬼鮫は彼の手を振り解き、静かな口調で言葉を発する。
「だれかれ構わず邪魔だと押すサソリさん。退いてくださいってお願いをするだけなんですよ?」
「…チッ」
「ディダラさんもです。具合の悪い人にあんな悪戯するもんじゃありません。
サソリさんに押されなくとも目眩かなんかで倒れてしまったら同じ結果になってたんですよ?
反省してください」
「…うん」
鬼鮫に指摘された二人は、たしかに自分たちの行動が悪かったと感じ、ただただ納得するしかなかった。
「鬼鮫…たまにはいいこと言うんだな…」
何時の間にやらリビングに戻ってきていたイタチが声をかける。
「とりあえず寝かしといた……2時間ぐらいすれば痛みも消えて起きて来るだろう…」
「そうですか……安心しました」
ほっと胸を撫で下ろす鬼鮫たち。
イタチはソファに腰掛けると、テレビの電源を入れ、ニュースを見始める。
そしてCMが流れているのを見て何かを思い出したのか、口を開いた。
「ああ。それとだ。今日は彼女の生活用品を買いに行かせるつもりでいたんだが…あの様子じゃ行けない…
いや、行かないだろ。なので代わりに誰かに行ってもらおうと思っている。俺は任務でいけないからな…」
「そうですね…今日は私、サソリさん、デイダラさんが休みですからね。私でよければぁ……」
「ディダラに行ってもらうか…」
「え?!オイラ!!?」
「そうだ、おまえに行ってもらおう。元はと言えばおまえのせいだからな」
「うっ…」
自分のせいだと言われ、さらに落ち込むデイダラ。
「…けど…けどさ!いくらオイラでも女物の下着は買えないぞ。うん」
「変化して買えばいい…」
「けどさぁ…」
「私…行きます…」
どこからどう見てもディダラが不利な状態のプチ口論中、リビングのドアが静かに開き、が入ってきた。
「けどおまえ…その傷じゃ…」
「もうだいぶ、痛みも引いてきたし…大丈夫です。それに…」
心配の表情を浮かべるイタチにふっと微笑み、ディダラに視線を向ける。
「?」
「それに…私、デイダラの鳥に乗ってみたいから!」
親指を立て、ニっと笑って見せるとディダラが突然泣き始めてしまった。
「ちょっ!泣かないでよ!そんなにあたしと行くのいや?」
「ち、ちげぇよ。オイラ…おまえが一生許してくれないって思ってたから…」
オロオロするに自分の考えていたことを告げるディダラ。
もちろんそんな言葉が聞けるとは思ってもいなかったので、彼女は驚きを隠せないでいた。
「オイラ…オイラ……っ!?」
まだ止まらない涙を流しながら何かを言おうとしていたディダラを優しく抱きしめる。
胸に顔を埋めたまま彼女は話し始めた。
「うれしい…私ね、向こうの世界に居た時…ガイが大好きだった…いつも会いたいなぁなんて思ってた。
でもね…暁の存在を知ってからは暁が大好きになったの!世の人たちから見たら酷いことをしてる
犯罪者でも…私にとっては大切な存在だよ」
「……」
「だから…最初から全部受け入れてもらおうとは思ってなかったしもらえるとも思ってなかった…
そして、ほんと!最初は全然受け入れてくれなかったし…だからこんな傷ができちゃったわけだけど…
でも…サソリさんは初めての日に出来た傷の手当てと痛み止めの薬、調合してくれたし、
鬼鮫さんはさっき応急処置してくれた。イタチさんは大事な秘薬を使って痕が残らないようにしてくれた…
そして…デイダラは私のために泣いてくれてる…皆が少しでも私の存在を認めてくれた。
それがすっごく嬉しいよ」
「「「「……」」」」
彼女の言葉に何も言えないメンバー。
今まで恐れられることがあっても、誰かに好きだと言ってもらえたことは無かったからだ。
「あ、ありがとう…」
「ありがとうございます」
「ありがとう…」
「…ありがとう…えっと…」
「。私はよ」
「ありがとう、!」
自分たちの行為を許してくれたことが嬉しいのか、はたまた、犯罪者でも大切な存在と言われたことが
嬉しいのか、全員少しばかり頬を染め、口々に感謝の言葉を述べる。
「えへへ…じゃあ、とっとと買い物に行くか、うん?」
「うん!」
照れ笑いを浮かべる2人に鬼鮫が声をかける。
「あ、朝ご飯はどうします?」
「ん〜、帰ってきてから食べるよ!だから冷蔵庫にでもしまっといて」
「分かりました」
にっこり微笑むと鬼鮫はキッチンへと戻り、2人の朝食にラップをかける。
「じゃ、行こ!」
「おう!」
「…あ、!」
出て行こうとするを突然呼び止めたイタチ。
ズボンのポケットから何かを取り出し、それを投げる。
「これは?」
なにやら封筒のような物をキャッチした彼女は不思議そうにイタチの顔を見る。
「その中に必要なお金が入ってる。使ってくれ」
「………でも…ありがとう!」
「おい!……俺からだ」
「……」
「これは私からです。このアジト内では唯一の女の子ですから、必要なものもたくさんあると思いますので。
それと……これ!そのまま持って歩くのも危ないですからこの財布に入れていきなさい。それ、差し上げますので」
サソリに続き鬼鮫もにお金を渡す。
そして鬼鮫はお金をしまうためと言って、彼女にひとつの財布を渡す。
「…へへへ…皆…ありがと!!!」
S級の犯罪者として恐れられている暁。
そんな彼等のちょっとした優しさは、自分の存在を少しでも受け入れてくれている感じられ、
嬉しく感じ出てしまう。はディダラの手を取り、元気にアジトを後にする……
「さーーーーーて!!!!買い物に行きますか!!!!」
…
…
あ、私…鬼鮫に体見られちゃったんだった!ぎゃー!恥ずかしい!!
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2007年4月1日 ILLUST BY/ふるるか