5-大賢者テラ
「いかにも。私がテラじゃ!」
まさに大賢者様と言ったことばが相応しい老人だ。
Last Game-Final Fantasy 4-
「このような場所でどうしたんですか?」
理由は知っているけどとりあえず話題を振ってみる。
「心配になって、ダムシアンへ向かう途中なんじゃが…この先の地下の湖におる巨大な魔物にてこずっとる」
「巨大な魔物?」
「そうじゃ!とてつもない力をもったやつじゃ!
私の魔法だけでは倒せん!お主ら、力を貸してはくれぬか?
とくにそこの暗黒騎士。お主の暗黒剣とならば!」
テラさんはセシルの手に握られている黒光りの剣を見ながら言う。
セシルは賢者の見つめる剣に視線をやり、頷く。
「僕たちもダムシアンへ向かわないとならないんです!」
「おおー。ならば決まりじゃ!一刻も早くダムシアンへ!!」
こうして大賢者と呼ばれる老人、テラさんが仲間になった。
それから私たちはダムシアンの地へと出るために、地下へ向かうことに。
途中で魔物との戦闘準備のため、休むことにした。
「よし、ここで今夜は休んでゆこう」
「しかし…魔物に襲われるのでは?」
セシルの言葉にテラさんは杖で大きな魔方陣を描き始めた。
そして八つの小さな石造のようなものをその魔方陣に沿って置く。
「これで大丈夫じゃ。この魔方陣の上ならば結界が魔物を入れんようにしてくれる。
テントやコテージで休んだりしても平気じゃ。やつとの戦いに備え、態勢を立て直すとしよう!」
「あ!テラさん。この魔方陣の描き方教えてくれませんか?旅をしているとどうしても必要になるので…」
「お主は旅の者か?」
「ええ。旅商人です…」
なるほど。では伝授してやる≠ニテラさんは快く答えてくれた。
とくにツッコまれる気配もないので安心しているとリディアが一言…
「ってやっぱ変!旅商人のくせに魔方陣の描き方もしらないなんて…」
「え?あ…いや…めんどくさかったから覚えなかっただけだ、よ…」
なんで彼女は一々一言多いのかね!?
言い訳考えるだけで疲れてしまいそうだよ…
まぁ、いつかは本当のことを話さないと行けない時が来るのは知っているけど…だけど、今はまだ早いと思うんだ。
ああ、ってそんな感じだよね≠ニ納得した様子でリディアは自分のリュックの中を探り始めた。
…私ってそんな風に見えるのか?とほほ…
「…あ、あった!!魔方陣の描き方を覚えるならこれあげるよ。この石造がないと効果がないからね」
「え?でも、そうしたらリディアの分が…」
「大丈夫!予備の石造、持ってるし!」
「そっか。ありがとう。大事にするね」
そう言うと、子供特有の可愛らしい笑顔でうん!≠ニ元気よく頷いてくれた。
うーん…こういう時は素直でかわいいんだけどねぇ…
それからセシルとリディアが寝袋と夕飯の支度をしている間、私はテラさんに魔方陣の描き方を教わっていた。
え?なんで食事をあの二人に任せているかって?2人が真面目に覚える気があるみたいだからって…やっぱ、私って真面目に見えないのか!?泣くぞ、ホントに…
「これで大丈夫じゃろう。うむ、真面目にやれば物覚えのいい娘さんではないか!」
はっはっはと笑うテラさん……おじちゃん…あなたまで…
「はは…お疲れ、」
「あ、あはは…あー、疲れた!風呂入りてー!!」
そう言うと、魔物がうじゃうじゃだけど水脈で入れるよ?≠ニリディアが…何?今日は私を苛めて喜ぶ日?
楽しそうな彼女の頭を軽く叩き、そのあとは全員でしばしの間笑いあっていた。
心の奥の出来れば早くダムシアンに行きたいという気持ちは隠して…
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2008年1月13日 ILLUST BY/ふるるか