4-デザート・ローズ
「セシル…ここなんじゃない?」
「ああ。でも…僕に用のある人っていったい……」
村のとある家の前での会話の一部……
Last Game-Final Fantasy 4-
「おじゃましまーす!」
「はーい…どちらさまですか?」
ぐっへっへっへ…ドアが開いていたので勝手に上がらせていただきましたよ、奥さん…て話の方向が違うか。
セシルがドアを開け勝手に入っていったのでちょっとね…妄想が暴れたのよ、うん。
いやいや、とにかく。中に入ると初老のおばあさんが出迎えてくれました。
彼女にセシルが宿で得た情報を話すとおばあさんはああ、と頷いていた。
「バロンから来た娘さんだよ。高熱病で村の前で倒れていてね。かわいそうに…うわごとでセシル、セシルとずっと言っているのよ」
「バロンから…?嫌な予感がする…あの、彼女に会うことは…」
「ああ、案内しますよ。こちらへ……」
バロンから来た女性…その言葉にセシルの声色がすこしばかり変わった。
おそらくローザだと気づいたのだろう。とにかくおばあさんの案内してくれた部屋の中に入る。
「…!!ローザ!!」
部屋に入ってすぐ、セシルがベッドの方へ駆け寄った。
やっぱ彼女だったか…いや、分かってはいたけどね。心のどこかでは彼女ではない別の女性かもしれないと期待していたんだよね。
「ローザ…」
「ううん……い、や…死なないで…セシル!!」
彼の声に反応したのか、うわごとでセシルの名を叫ぶが目を覚ます気配はない。
それよりも高熱が続いているせいでものすごい量の汗だ…このままでは脱水症状で死んでしまうかもしれない。
それに気づいたのか、彼女をずっと看病していたと思われるおばあちゃんが濡れたタオルで彼女の顔や首周りなどを拭く。
「彼女を助ける方法はないの?」
横で黙って見ていたリディアが小さく呟く。その小さな呟きにローザの世話をしていたおばあちゃんが答えた。
「高熱病を治すには幻の砂漠の光≠ェ必要なのじゃが…」
「…何か問題でも?」
「アントリオンと言う魔物の巣穴にあるんだよ。大人しい魔物なので普通なら苦労はしないんだけどね…」
最近は凶暴になっていると言う噂だよ。とセシルの問いに答えてあげる。一応忘れがちだがここでの私は旅商人と言うことになっているのでね。
たまには旅商人らしいことも言わないと怪しまれてしまうからな。
「だけど…ローザを助けるには……」
「ああ、どうしても必要だよな…まぁ、私としてもいい商品になるし?取りに行かないかい?」
「一緒に来てくれるのか?」
「ああ、さっきも言ったように砂漠の光はいい商品だからねぇ…彼女を助けるついでに数個ばかり仕入れようかなぁってさ…」
そう言って不敵な笑みを浮かべるとセシルの表情が明るくなった…おそらく、たぶん…(いや、兜で表情伺えないし?)
「しかし、アントリオンの洞窟は…?」
「とりあえず、この村から北の方へ行くと地下水脈の洞窟がある。まずはそこを抜けてダムシアン城へ向かおう…あとはそれからだな」
「…?…ああ…」
まずはあの臆病な王子様と出会わないとね。彼と会わないことには目的地に辿り着く事は無理だからね。
行き先が決まったからにはいつまでもここにいるわけには行かない。
おばあちゃんに私たちが戻ってくるまでの間、ローザのことを頼みますとお願いし、これから必要となるであろう道具や武器をそろえるために家を後にした。
「…ところでって…旅商人と言うわりには売り物も武器も持っていないよね?なんで?」
「ギクッ!!あ、あははは…」
リディアの鋭い突っ込みに思わずビクついてしまったよ…だよなー、商人なんだから町でポーションや剣など買う必要は本来ないはずだもんな…
うむ。どうしよう……
「…盗まれたんだろ?ギルも持っていないみたいだし。まぁ、最近は物騒になってきているしね」
ナイス、セシル!!君はいい男だ!!もう、おもわず抱き付きたくなる衝動を抑えるのに苦労しちゃうよ!
と言うことでおもいっきり頷いておく。ふーんと納得したみたいでリディアは自分の武器選びに戻っていった。
よかった…なんとかごまかせた。
「ひっどいよなぁ…ちょっと森の中で昼寝しているときにすべて持っていかれたって話なんだからさぁ…」
武器を選びながらそんなことを口走ると…
「…森の中で無防備に昼寝している君にも非があるんじゃ…」
なんて言葉が返ってきた…ごもっともです。セシル君。そんなアホ商人、この世界中を探しても見付からないと思うよ、ホント…
とりあえず気を取り直して必要なものを揃えた後は北の地下水脈へ向かいます…はい。
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2007年11月21日 ふるるか