9-未来の仲間。
「これはエドガー様。どちらへ」
「洞窟を抜け東のサウスフィガロの町を目指す。その後、北のリターナーの本部へ赴く。
このことをフィガロ城へ戻って伝えて欲しい。ああ、あとこの帝国兵のことも頼んだぞ」
「え?あ、はっ!お気をつけて!」
なぜに帝国の者の面倒を?と言った兵士の顔が面白かった。
Important Feelings-Final Fantasy 6-
先ほどの兵士と別れ、私たちはサウスフィガロと言う町へいく為にジメジメした洞窟の中を進んでいる…
と言っても先ほどの帝国兵士たちとの戦いで疲れたと駄々をこね始めたロックというやつのおかげで入り口近くの泉で休息していた。
「それにしてもおっどろいたよなぁ〜。ティナは魔法が使えるってことはかなり有名だったからいいけどさ。
までもが魔導の力を持っていたとはな」
「ティナってそんなに有名なんだぁ」
「ああ、いろいろとね。彼女がこちら側にいることはとても心強いものだ」
「ふぅん……」
エドガーたちの話しを聞きながらチラッとティナのほうへ視線を向けると、やはり先ほどと変わらない不安そうな顔をしていた。
まぁ、とつぜん魔導の力があるとかないとか、その力が戦争の鍵だとか言われちゃあね…私ならぜったい逃げてるな、うん。
だって今だってオーブとか探すの正直、気が進まないんだよね。
そりゃあ、自分の世界に戻るためには必要な物だって言われているから探さないと駄目なんだけどさ。
でも、でもやっぱりさっきのように生物に魔法をぶつけたり、もしかしたら刃物などで切り捨てたりしないといけない日が来るかもしれない。
その相手が先ほどのように、人も含まれていると思うとどうしても目を背けたくなるさ。
生まれ育った世界がこんなにも違うんだなーってしみじみ感じるよ、まったく。
「どうしたの、?」
「え、ああ…ちょっと考え事をね」
「あー、そういえばさっきの俺の言葉に答えくれてないよな?も生まれつきの魔導士なのか?」
それならあの炭鉱で生きていたことが納得できるし≠ニ付け加えて質問してくるロック。
そんな彼の疑問に苦笑いを浮かべ返答してあげた。いや、それしか出来ないし…
「まさかぁ…生まれて今まで魔法なんてもの使ったこともないさ。私の世界には魔法に対する憧れこそは
あっても実際に使える者なんていないしね。皆のことまもりたーい!って思っていたらなんかこうぶわあっと
ね…そんな感じ」
「……なんだかなぁ…いまいちわかんねえな。でもま、もバナン様に会って見るといいかもしれないな。
もしかしたらなんか答え見つかるかもしれないし…ほら、あのオームだかなんかの…」
「ああ、俺もそのオーブと言うものが気になるな。それはいったいなんなのだ?」
オーブと言う言葉にさっきまで黙って聞いていたエドガーが食いついてきた。
ティナも横で興味あるなーって感じで覗き込んでくるし…どうするべか?
あの自称神様のシャンゴーのことはまだ伏せておきたいし…かと言って彼らに嘘もつきたくはないし…うーん。
「話せないことか?」
「うーん、自分でもまだよく理解していないからどうとも言えないんだよねぇ。ただ世界に
散ばってしまった欠片を集めないと自分の世界に帰れないってことと、これには不思議な力が
あるってことしか知らないからなぁ」
グローブからグラスオーブを取り出し、エドガーに渡しながらそれ以上は解らないな≠ニそれだけを伝えておく。
なぜだか知らないけど今はまだシャンゴーの世界を好きに変えていい#ュ言や力を得るには神や
幻獣に会う≠ニかは言わないほうがいいと思った。まあ、それが間違いではなかったと言ってもいいんだけどね。
ケフカたちがまだ追って来ているかもしれないからと言う事で話しもそれくらいにして私たちはまた歩き始めた。
洞窟の中は…魔物が出ること意外はきっと普通の洞窟とは変わらないと思う…たぶん。
まぁ、ところどころに旅人か商人が落としていったのか、使えそうな道具などがあったので、ロックと二人できゃいきゃい言いながら拾ってましたが、何か?
「ところで…魔法が使えるのはいいとして、そのままでは倒れてしまうんじゃないのか?」
「……………………誰のせいで魔法ばっかり使ってると思うのよ…」
あんたのせいでしょ!!と言えばわりぃわりぃ≠ネんてぜんぜん反省のない言葉が返ってくる。
こいつ魔法で痺れさしたろうか?てか、麻痺の魔法なんてあるのかな?
こんど神様か幻獣とやらに会ったら聞いてみるかな。
とくに問題もなく私たちは洞窟を抜け、サウスフィガロと呼ばれる町にたどり着くことが出来た。
「おおー!なんか映画で見るような港町だね!」
「君のいた世界もこんな感じだったのかい?」
「うーん、はっきり言うと一昔前って感じかな?でも私はこういった雰囲気が好きだよ」
エドガーの問いに特に嘘をつく必要もなかったので素直に答えておく。
いやー!それにしても潮風がいいねえー!!
「とりあえず腹ごしらえでもしないか?俺、もう腹が減ってさぁ」
「…私も少し休みたいわ…」
「そうだな。今夜はここで休んでいこう。出発するのは明日の朝ってことで…夜までそれぞれ自由行動ってことでどうかな?」
ロックとティナの言葉で今日のスケジュールは決まった。
エドガーは宿で部屋を確保すると言うことで1人、宿屋へと向かった。
残った私たちは一応自由行動ということなのでそれぞれが好きなところへ行くことに決まる…
とは言っても3人とも考えていることは一緒なので、3人仲良くパブレストランへと向かいました。
「ひゃ〜、けっこう混んでるなぁ…」
「カウンターならちょうど3人分空いてるけど」
「お?本当だ…ティナとはあそこでも構わないか?」
私としては腰掛けてゆっくりと食事できるならどこでもいいさ。と言うとティナも頷いた。
それならということで誰かに席を取られてしまう前にカウンターへと向かう。
ちょうど私の右隣に黒一色の男が座っていた。その隣にはちょこんとドーベルマンのような犬が……はうん…
「かっわいい〜!!」
「…よせ。他人には懐かない犬…犬…へっ!?」
黒い人がなにやら言いかけていたようだが、こちらに顔を向けた瞬間、驚きの表情へと変わった。
一瞬間抜けな声が聞こえた気もしましたな。
赤…と緑のオッドアイに擬視されてる…怖いなぁ…
「他人には懐かない犬なのだが……」
「じゃあ、他人じゃないのかもね!」
黒い人の呟きにそう答えてみたら思いっきり睨まれてしまいました…す、すいません。
まぁ、父親が獣医だから小さいころから動物たちに囲まれて暮らしていたため、人より動物に懐かれやすいんです…とでも言っておこうか?嘘はないし。
そう自己完結させ、一字一句間違えずそう告げると男は軽く頷くと興味を失ったのか、視線をジョッキへと戻した。
まぁ、大して仲良くなろうと言う気もなかったから自分も椅子に腰掛け、運ばれてきたシチューへと集中した。
味は…最高に美味かったです!!また、サウスフィガロに寄ることがあれば食べに来たいなぁと思いました。
「さて、エドガーの弁当も買ったし…いくか?」
「ええ…」
「じゃあね、わんちゃん!」
いまだに主人に寄り添って大人しく寝ていた犬の頭を撫でたあと、ロックたちの後を追おうと駆け出したら声をかけられた。
何だろうと振り向くと、黒い男が眼を細め話しかけてきた。
「こいつの名はインターセプターだ…こいつを懐かせることが出来た変わった小娘よ。いつかまた会えるのを楽しみにしているぞ…」
「へ…は、はぁ…」
犬の名前を教えてくれるのはうれしいが…なぜにまた会いたい的なことを言うんだ?この人。
気に入られたか?別に下心があるわけではなさそうだから嫌だとは言わないけどさぁ…ちょっと怖いぞ、知らん人に突然そんなこと言われたらさ…
なんと返していいのかすぐに思いつかなかったので曖昧な返事と手を振り、パブを後にした。
なんでかは解らないけど、またすぐ会えそうな気がした…
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2007年11月25日 ILLUST BY/ふるるか