5-前へ進むとき
「落ち着いたか?」
「うん…ありがとう…」
テリーからマグカップを受け取り、深いため息を吐く。
☆Hop! Skip! Trip!!☆-The king of Fighters-天使のメロディー
「それで…大丈夫なら何があったのか話してくれないか?」
「……うん…まず母さんに電話したのね…それで……」
向かいのソファに腰かけたテリーの言葉にポツリポツリとあったことを話し始めた。
カップの中に視線を落とせば微かに映る自分の顔に思わず涙がまた出てしまいそうになる。
そっと目を伏せ、出来るだけ声を震わせないよう言葉を紡ぎ出す。
「そっか…番号を…間違えたということは?」
「ないよ…まさかたった一晩で父と母の番号が変わるわけないし、なによりも名前が声が両親のものだったから…」
「うーん…それはたしかにそうだ、な…まいったなぁ…」
「ごめんね…迷惑かけちゃって」
顎に手を当て首をかしげ悩むテリーに謝る。
すると彼はすぐに顔を上げ、両手で力いっぱい違う違うとサインする。
「いやいや!のこと迷惑とかそんなんじゃないって!ただ、ほら…こうなると本当に異世界から来たってことになるだろ?
帰る方法探すにしてもここで暮らすことにしても滞在許可がないからどうすればいいかなぁって…」
滞在許可…ああ、確かにそうだった。
いくら違う世界とはいえ、基本的なところは私のいた場所と似てる…ビザも何もなしじゃ困るよねぇ。
仕事もアパートも探せないし。
「だってずっとアパートの中ってわけには行かないだろ?ふー…あいつに会わせるのはあまりいい気はしないがこうなっては仕方がないな」
「あいつ?」
眉間に皺を寄せ、ある人物のことを口にするテリー。そんなに嫌なやつなのかい…
「ん?ああ…いや、いいやつなんだがな…いいやつなのか?いや、うーん…」
なんか先ほどよりもっと悩みはじめてしまったんですけど!
ど、どんな人なのよ、その人…
「テリーあいつって…もしかしてあいつ?」
「ロック。ああ、あいつならのビザやパスポート、滞在許可書など手に入れること出来るんじゃないかと思うんだが…」
「ああ…親父と仕事していたからな。難しくはないだろう」
ビザ、パスポート、滞在許可書…え?手に入れるってもしかして…
「ねぇ…それってもしかして偽造するってこと?」
「うん?ああ、それしか方法がないだろ?」
「ちょっと…それってばれたらテリーたちが酷い目に合うんじゃないの!?いいよ別にそこまでしなくても。
大体私、もとから引き篭もり好きだし、アパートでじっとしてるのも悪くないから!」
それに明日になれば元の世界に戻ってるかも知れないんだし、本当にそこまでしなくてもいいって!
あわわわ…どうしよう!
「…とは言うけどなぁ。もし、すぐに帰れなかったらどうするんだ?
が此処へ来てしまった理由を探すために必要だろう?」
私がここにいる理由を探す、か。
たしかにここでじっとしていれば何も見付からないだろう。でも、そのために彼らをこれ以上巻き込んで迷惑をかけるわけにも…
「なぁ…電話の相手はの両親なんだろう?」
「うーん…声と名前は確かに父と母のものだったけど…」
「に会ってみないか?そう簡単にはいかないだろうけど何か関係があるかもしれないしさ」
「そういえばそのって女はに似てるんだっけか?」
テリーの問いにロックは頷く。
私に似てる女性か…確かに彼女の存在も気になるな。
「よし!彼女にも会いに行こう!」
「そうと決まればあいつに会いに行くしかないな!」
「…ありがとう!」
不安もあるけれど、今は甘えて彼らに任せよう…
それにって女性にも会ってみたいしね。
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2008年4月17日 PHOTO BY/MIYUKI PHOTO