6-アヒルの王子様?





「Hey,Terry!ゲンキか?」

「よぉ!おまえは相変わらずな格好だな」

小さなストリートダンサーが集まるバーで一際目立つ、肩に一羽の雛を乗せたモヒカン頭の男性がいた。






☆Hop! Skip! Trip!!☆-The king of Fighters-天使のメロディー






ダック・キングと言うその男性は昔ロックの実父のところで仕事していたらしい。
ロックの父はなにかの社長さんだと言う話しだし…よっぽど酷い扱いを受けていたんだな…こんなにぐれてしまうなんて。

「なるほど〜。にわかには信じられない話しだけど…テリーとロックぼっちゃんが言うんなら信じるしかねーよな!」

「ぼっちゃんは止めろ、ダック!」

ぼっちゃんと言われ顔を真っ赤にするロック。ああ、たしかに社長の息子じゃあねぇ…

「ヘイ、!そんな心配そうな顔すんなって!このオレに任せておけばダイジョウブ。
偽者だと誰も気づかない書類を用意してやるからな。だからだ…」

「何ですか?ダックさん」

雛のPちゃんを口元へあて頬を微かだが染めている。
なんかモジモジしてるんすけど…てか、後ろで嫌な予感がする≠ニテリーがぼやいているんですけど…

「だから…その、な、おうっ!」

「な、何でしょー?」

ちょっ!いい年の男がそんな乙女のようにくねくねしているとめっちゃ気持ち悪いんですけどぉ!
ほ、ほら!鳥肌立ってきたし、嫌な汗も出てきたよぉ!!

「気持ち悪いから早く言え、ダック!」

「ううう…ちゃん!報酬はオレとデートしてくぐぎぇえっ!!

「おまえのようなやつと彼女を2人きりさせるわけにはいかねえ!トラウマになる!」

「なんでぇ〜!」

テリーに思いっきり殴られ涙目になりながらなんでトラウマになるのかと問い詰めている…
たしかにちょっと引いてしまう感もあるけれど…べつにトラウマになるほどでもないだろう?

「とーにかく!報酬は別のものにしてくれ!」

「じゃ、じゃあ!き、きききききききききKissで…」

「……もう一発殴られたいのか?」

テリーが拳を見せるとダックさんはひー≠ニ悲鳴を上げ、ロックの後ろへ隠れた。

「テリー…別にキスのひとつぐらい、いいじゃないの?減るもんじゃないし…ね?」

笑顔でそういえばテリーは額に手をあて深いため息を吐いた。

「あのなぁ…まぁ、いいや。ヘイ、ダック!おまえどこにKissしてもらいたいんだ?」

「え?いいのか!?そ、そりゃあ、もちろんHereに……」

欲しいものを買ってもらえる子供のように瞳をキラキラさせながらダックさんは自分の唇を示す。
すでにキス態勢に入っているし…

「あ……やっぱり遠慮してください。減るから…」

その言葉に男二人の高い笑い声がバー中に響いた。








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2007年5月12日    PHOTO BY/MIYUKI PHOTO