3−信じてもらいたい。
「テリー!ジーンズとシャツはあれだけ別にしとけって……?」
「え?」
怒鳴り込んで来た金髪赤眼の青年はロックという名前だった。
彼が私の事を知っているかも知れないと思うと少しドキッとした
☆Hop! Skip! Trip!!☆-The king of Fighters-天使のメロディー
「それでロック…お前は彼女のこと知っているのか?」
「いや…あまりにも似ていたからつい…」
「似ていたって…誰に?」
彼に声をかけると顔を真っ赤にして俯いてしまった。
おろおろする私にテリーはその豪快な笑い声とこれまた乱暴にそのごつい手で頭をなでながら
ロックは女性が苦手だと教えてくれる。恐怖症とかそんなんじゃなくてただ不慣れなだけだとも。
…うん。美形が2人っきりで暮らしていたら誰でも一度は考えるよね。もしかしてって。
まぁ、そんなことは後回しにして、ロックから聞き出せたことは
私に声も顔もそっくりな女性がいると言うこと。
そして驚いたことに、彼女は顔だけではなくて名前も生まれも同じだと言うことだった。
これって昔見た、あの日本で有名な「ド○○もん」のあべこべ星だかなんだかに似てる気がした。
「……ねぇ、テリー。私、今頼れるのはあなたしかいないの」
「…ああ」
「だからどうしても今はあなたの助けが必要。そのためには私が本当に異次元をトリップしたってことを
信じてもらわなきゃいけないと思うの。
お金なら、少しだけあるの。きっと使えると思う。だからね、お願いがあるの」
「なんだい?」
「公衆電話でもどこからでもいいの。国外に電話が出来る場所まで連れて行ってほしい」
怖かった。顔も声も名前も生まれまでもが一緒の女性がいると言うことが。
もしこれが異次元をトリップしてしまったとかそんなんじゃなくて、本当は誘拐されたとか、
乗っ取られたとかの話しだったら恥ずかしい。
と言うよりも誘拐しても乗っ取ったとしても得なんてしないけれどさ…
ああ、でも誘拐されてそこらのスケベ親父に売られたんだとしたら…そう考え、テリーの顔を見つめてしまう。
いやいやいや、彼とは私がこの町だかビレッジだか知らないけれどを彷徨っていたときに出会ったんだ。
うん、少なくとも彼はそこらのスケベ親父ではない。そうだ、そんなことがあってたまるか!
ああ、そういえば私はここに来る前は自室でPCを触っていたはずだ。ああ、そうか。これは夢。
夢に違いない。夢以外にない!…そう思って毛布の下で自分の腕を抓ってみたが…ちっきしょー…
夢じゃなかったさ。
「OK。けど、今日は遅いし、その格好じゃ寒い、それとここいらの男に襲われてしまう。
明日、俺の知り合いの店まで連れて行ってやるから今日はここで休んでいくといい」
そこのベットを使っていいからと言って彼はやはりそのごつい手で、しかし今度はやさしくなでてくれた。
そばにいたロックは少し不満気な感じもしたが…否定はしなかった。
とりあえず、今夜の寝床は確保出来たさ。それだけでもよしとしましょう!!
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2007年9月28日 PHOTO BY/MIYUKI PHOTO