3-死の道
警察署へ向かうべく怪物たちを避けながらとにかく前に進んだ……
Hop!Skip!Trip!!-Biohazard 2-ウィルス-
「くそ!なんて数だ!」
制服と一緒に提供されていた地図を眺めながら俺はどう署へ向かうかを考えていた。
もちろんやつら≠フ攻撃をかわしながら。
そして一見行き止まりと見える場所にたどり着くとそこにはガンショップと書かれた看板が。
「ここか…」
少しの間の休息にいいだろうと俺はそこに足を踏み入れる。
「動くな!誰だ、お前は!」
「撃つな!人間だ!」
「人間?……そうか、それは悪かったな。化け物が入ってきたかと……」
男はショットガンを下げるとカウンターから出てきてドアの外を眺め、すぐに閉め鍵をかけた。
「一体、この町はどうなっているんだ?」
「…俺にも分からねぇ…気づいたら化け物だらけさ」
気づいたら化け物だらけ。ここの住人でさえちゃんとした答えをもらっていないというのか。
どうなっているんだ…
「まぁ、だがここにいれば安心だ。俺がちゃんと見張っておく。弾の補充でもしていればいいさ…それに、
なにか必要な武器があれば好きに持っていくといい。どうせここじゃもう仕事になんねぇしな」
店主の言葉に甘えて持てるだけハンドガンの弾をポーチに入れる。
そしてそのほかにナイフや救急スプレーも持っていくことに。
一通り武器の補充を終えるとまるで狙っていたかのように男が見張っていたドアが開き、
中に化け物がなだれ込んできた。
「うわああ!ちきしょー!に、逃げろ…うわあああああああ!!!」
「お、おい!…くそっ!!」
男はあっという間に化け物どもに殺されてしまった。
胸が痛むがここはやつらが食事≠ノ夢中の間に裏の扉から逃げることにした。
「…ここを曲がって向こうの通りに出ることができたら署に着くのか…」
バスケットコートの化け物どもの頭をぶっ飛ばし署へと通じる道をそのまま突っ走る。
裏口でもいいさ。無事に同僚や先ほど別れたクレアと合流できればそれでいいさ。
もうすぐ目当ての場所にたどり着けるかもしれない――そう思うとこんな地獄の中でも自然と
笑みが浮かぶものだ。
しかし…
そんな微かな喜びは一台のバスによって奪われてしまったのだ。
「これは…ちくしょっ!!」
署へと通じる道をふさぐようにバスが停車されていた。
中から人の気配を感じたが、よくよく確認するとそれは先ほどの怪物たちだった…否、先ほどのやつらより
腐敗がかなり進んでいるやつもいる。
そして俺の匂いに惹かれたのか(言っておくけど別に悪臭なわけではない…と思う)、食事中だった化け物どもが集まってきた。
「…くそ。このままだと署に着く前にこいつらの餌になっちまう!」
意を決してバスに乗り込む。一歩中に入るとそこは地獄だった…なんて言葉が一番お似合いだな。
バスの中は虚ろな足取りの怪物たちや、体の一部を食い千切られた死体などがあった。
動いている怪物たちにはどう対処すればいいのか、多少解っているので恐怖感などはないが、
厄介なのは一見ただの死体にしか見えない者たちだ。
俺の足音で反応するのか、はたまたほかのやつらのように匂いで動き始めているのかはわからないが、
足元にしがみつき、噛み付こうとしてくる。
「くそっ!離せっ!!」
振り解こうとするが、やつらの腕力は以上なほどで、少しでも気を抜けば噛み付かれるか、押し倒されてしまうかの状態だ。
こうなってしまうと残る道は一つ。はじめのやつのように頭部に銃弾を打ち込むことだけだ。
先ほどのガンショップで補充したとはいえ、発砲することを躊躇ってしまうが、仕方がない。
クレアを署で一人きり待たせてしまうわけには行かない。それにもしかしたらほかにも生き残りの住民や警官たちがいるかもしれない。
そうと決まれば先ほどの躊躇いが嘘のようだ。
まずは怪物の両腕に発砲する。やつらの骨肉は腐敗のせいなのか、かなり脆くなっていてハンドガン一発でも飛ばされてしまう。
やつの束縛から逃れた後は脳天を撃つ。やはり体の重要な一部だからなのか、近距離だと2発ほどで息の根を止めることが出来た。
勢力の強いショットガンあたりだと頭部は1発で破壊できるかもしれないな…署についたらショットガンの弾を出来るだけ持っていこう。
そう考えながら目の前に迫ってくるもう一体の怪物にも同じように発砲する。
やつらの動きを止め、いつよみがえるかも分からない死体たちから距離を取りつつ、バスを後にした。
だが、まだ安心は出来ない。外も中と大差なかった。怪物どもが5,6体うろついていた。そして俺の匂いを
嗅ぎ取ったのか、まっすぐこちらに向かってくる。
まだ先に何が待っているのか分からないため、ここで残りの弾を無駄にすることも出来ない。
やつらの動きを見ていて解ったことは例外もいるがほとんどのやつらの動きが遅いということだった。
一気に突っ走るか、やつらをある方向へ誘導しながら進むか…とにかくやつらの配置によって変わる。
幸いすべての化け物がこちらへと向かってきているため、左側が空いていた。
あとは俺の足にすべてが託されている。そう、言い聞かせ、突っ走った。
署の門まで50メートルぐらしかないが、振り向くことも止まることも…ましてこける事など許されはしない。
すこしでも変わった動きをとればそこでアウトになってしまう。
心で何度も何度も上手くいくよう願いながら走り続けた。
そしてクレアも無事、署へたどり着いていることを祈りながら南門を開け、中に入った。
BACK ・
MENU ・
NEXT
2007年11月17日 PHOTO BY/LOSTPIA
TITLE BY/選択式御題