2-ホラー映画と化した町。
新しい土地での仕事当日に大遅刻するとは…
きっと先輩たちに怒られるか呆れてしまうんだろうなぁ。
Hop!Skip!Trip!!-Biohazard 2-ウィルス-
ジープを走らせて俺はラクーンシティへと向かっていた。
同僚たちにどう言い訳するか、そもそもなんでこんな馬鹿なことをしてしまったのか
そんなことばかりが頭に浮かんでいた。
「…おかしいな。今日は確か聖・ミカエル祭じゃなかったか?」
シティに近づくにつれ渋滞になっているのでは?と思っていたがまったくその反対で、前にも後ろにも
車一台すら走っていなかった。
それどころか無線さえ通じない状態に。
まさかお祭りがもう終わってしまったとか?否、それは時間的にもないだろう。
今が一番賑わっていてもおかしくないんだし。
まさに廃墟と言える風景は俺がシティに入っても変わらなかった。
「ったく、どうなってるんだ…って、うお!」
せめて本部署まで行こうと車を走らせていると、危うく何かにぶつかりそうになった。
「人間か…?」
数羽のカラスが飛び去るとそこから現れたのはうつ伏せに倒れている人の姿。
「なんて傷だ!どうしてこんな……」
倒れていたのはたしかに人間で、所々をクロウに啄ばまれて明らかに死んでいる。
明らかに自然死ではない状況に俺は初っ端から大事件に遭遇したのかと少しばかりどきどきしていた。
目の前の死体に気をとられていると後方から何かが近づく音が聞こえてきた。
「…何だ?」
振り返ると数人の人間がおかしな足取りでこちらへと向かってきていた。
それらはまるで俺を狙っているかのように次々と現れてはまっすぐ俺の方へと向かってくる。
「こいつらいったい…?止まれ!止まるんだ…!」
銃をやつらに向け、一歩二歩と俺は後退する。
すると何かが足をつかんだのを感じたため足元を確認する。
…信じられない。先ほどまで確かに死んでいたはずの人間が動いている。
「くそっ……」
背筋がぞっとするのを感じながらも足元にしがみつくその者の頭に発砲する。そして次には目の前まで
来ていたやつらに向けて発砲する。
「なっ!馬鹿な、急所だぞ!」
そう、俺は確かに急所を狙って撃っていたはず。しかし目の前の人間と思わしき者は怯むことなく
前進してくる。すばやくマガジンでガンをリロードし、なおも撃ち続けるがやつらは足を止めることをしない。
あまりの数にやつらの横をすり抜けることができないため、俺は一歩一歩後退するしかなかった。
そしていつの間にか狭い路地のレストランの扉らしき場所までたどり着いていた。
やつらの隙を狙い俺はそのドアを開け中に非難しようと試みたが先に誰かが内側からドアを開いた。
いつでも撃てるようとっさに身構える。
「待って、撃たないで!」
「伏せろ!」
驚きの表情を浮かべた女の子の後ろで先ほどのやつらと同じような人間≠フ姿が見えたので
彼女をしゃがみ込ませ後ろの化け物に発砲する。
「ここは危険だ。一緒に警察署へ行くぞ!」
「ええ!」
女性の手を引き、駆け出す。
後ろの化け物たちもその後に続く。
表通りに出ると俺は先ほど乗り捨てたジープを探すが…別の道から出たらしく見当たらなかった。
その代わりといえばいいのか、乗り捨てられたパトカーを見つける。俺たちはすばやく乗り込み、
エンジンをかけ、発進させる。
「どうなっているのよ?やっと着いたって言うのに…」
「わからない…くそ、無線もだめだ!!」
署へ何度呼びかけても答える者はいなかった。
ラクーンシティの警察署はたしかアメリカ一だと聞いていたが…
まさかあのS.T.A.R.Sまでもがやられてしまったというのか?
「あなた警官でしょ?」
「ああ、たった今着任したところさ。俺はレオン・ケネディだ。よろしく」
「私はクレア――クレア・レッドフィールド。兄のクリスを探しているの」
「クリス?あのS.T.A.R.Sのクリスか?あぁ、ダッシュボードの中を見てくれないか?」
「ええ、そうよ…銃があるわ」
「君のだ。持っていたほうがいい」
中の銃を取り、狙いを定めるまねをするクレア。扱えるのかという話をしていると突然後部座席から
先ほどの怪物の仲間が現れる。その怪物はそのまま俺の方をめがけて噛み付こうとしていた。
「くそ!させるか!」
ハンドルを思いっきり右に切り、なんとかやつを振り払おうとする。一瞬怯んだ隙を狙い、なんとか車を
立て直そうとしたが、目の前には絶望的な光景が広がっていた。
そう――そこは行き止まりだったのだ。
「つかまってろ!!」
突然のことで停車できなく、そのまま案内板に突っ込んでしまった。
その衝撃で後部座席のやつは吹き飛ばされフロントガラスを突き破り案内板にその身を打ちつけた。
「大丈夫か?」
「なんとかね…レオン、あれ!!」
安心したのもつかの間、クレアの声にバックミラーを見てみると後ろから猛スピードで
タンカーが向かってきていた。
「こっちへ来るぞ!逃げろ!!」
急いで車から飛び降りると同時にタンカーが激突。その衝撃で爆発が起き、俺たちは
離れ離れになってしまった。
「クレア、大丈夫か!」
「レオン!?」
「おれはだいじょうぶだ!署へ向かえ。そこで落ち合おう!」
「わかったわ!」
絶対生きて署に着てね!――炎の向こう側からそう彼女の声が聞こえ、走り去っていく足音を聞きながら
俺も署へ向かうべく走ることにした。
かつてない悪夢が俺たちを待ち受けているということも知らずに……
BACK ・
MENU ・
NEXT
2007年9月6日 PHOTO BY/LOSTPIA