1-悲劇のヒロイン誕生?
アメリカの中西部の小さな町、ラクーンを襲った猟奇事件。
そんな出だしで始まるホラーゲームをプレイしてみようと思った私は
実際にサバイバルの世界に巻き込まれてしまった。
Hop!Skip!Trip!!-Biohazard 2-ウィルス-
何がどうなっているのか…その言葉が今は一番あっていると思う。
数十分前までは確かに自室でゲームをしていたはず。
それなのに、今は警察署の数多くある部屋の一室でこうやってやつらに見つからないように身を潜めている。
…けれど、けれど私はこの場所を知らないわけではない。むしろ隅から隅まで知っていると言ってもいい。
遠目ながらも何度も何度も観ていたから。
この世界は…先ほどプレイしようと起動させたソフトの世界にそっくり。
否、あのゲームの世界に間違いない。
「……リアルに脱出しろってか?」
前髪を掻き揚げて、涙目で苦笑する。
大体今がどの時系列なのかすらわからない。まー、アウブレではないことは確かだけど。
「はぁ…どうしよう」
ここから出るには署の外に出てジルが辿った道を行くか、それともレオンやクレアが通った道、
つまりここを行ったり来たりして謎解きするか……無理だな。どっちにしても銃も扱えない、鉄パイプなど
で殴って怯ませてもきっと悪臭とかに耐えられなくて吐いてしまい、トロトロしているうちに食われて
アウト、だな。
我ながら情けないとこのときは本気でそう思った。
「はぁ……とりあえず部屋の中探って使えそうなもの全部持ってこ……」
女は足手まといだから嫌い=Bこれ、私の口癖。いや、たしかに自分も形状は少なくとも女なんだけど、
どうもハリウッド映画とかのヒロインは足手まといで嫌いだった。
てめーらも戦えよ!戦えないんならせめて邪魔にならないところにいろよ!≠ネんて文句言っていたんだけど
なんて言うか、今は自分がまさにそんな足手まといヒロインになってしまったような気持ちだ。
「くそー…こんなときかっこよくヒーローが現れてくれてもいいのにさぁ…」
せめて署内のゾンビなど全部排除してくれ!そう切実に願っていた。
さて、残り数時間で私は無事にこの町から脱出できるかな?
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2007年9月6日 PHOTO BY/LOSTPIA