砂に書いたラブレター@ この出会いを忘れない。

何年経ってもどんなに離れても君を忘れない。






砂に書いたラブレター前編






その日私は、いつものように7班のみんなと任務に向かっていた。
今日の任務は火の国のはずれにある五色泉の掃除。
少し遠いところにあるらしく朝早くに里を出発した。


「くぁ……。」


おかげで私はとても眠い。
サスケくんの頭にしがみつきながら目をこする。


朝からみんな元気だなぁ……。


ナルトくんはカカシさんに修行をせがみ、
サスケくんの隣ではサクラちゃんが必死にサスケくんにアプローチをしている。


「……でね、ちょっと遠いんだけど、砂隠れの里の近くに『想いの丘』ってのがあってね。」

「…………。」

「そこにカップルで行くと永遠に結ばれるっていう伝説があって……。」


サクラちゃんも朝から頑張るなぁ……。


サスケくんは頷くこともなく聞き流しているというのに
サクラちゃんは、多少暴走しながらも一生懸命話しかけている。

その様子に感心しつつ、私はあくびを噛み締めた。


「……くぁー……っ!?」


その時、ふと横を見るとナルトくんがじっとこっちを見ていた。


「キュ、キュル?」


な、何?


「サスケばっかりずるいってばよ……。」


おそらく、カカシさんに相手にされなかったんだろう。
ふて腐れながらこっちを見ている。


それはサクラちゃんのこと?それとも私のこと?


私は首を傾げながらナルトくんを見つめた。


その後ろでなぜだかカカシさんも物欲しそうな目で私を見ているのに気が付いたが、
そこは見なかったことにしよう。


「ふんっ、ウスラトンカチが……。」

「ナルトはカカシ先生と話してればいいでしょ!邪魔しないでっ!!」

「さ、さくらちゃーん……。」

サスケくんには鼻で笑われ、サクラちゃんには邪魔扱いされて、
さすがのナルトくんも肩をがっくし落とし項垂れた。


か、かわいそう……。


「……キュル。」


しょうがないなぁ。
よいしょっと。


3人に邪険に扱われたナルトくんがかわいそうで
ゆっくりとサスケくんから下りると、ナルトくんの方へ移動すると、


「おぉ、!お前だけだってばよ、俺の相手してくれるのは!」


そう言って、ナルトくんは私をぎゅっと抱きしめた。


この同情があとであんなことになるなんて。
この時私は予想もしていなかった。























その数時間後、ようやく五色泉についた。


最初に、管理人と思われるおじいさんからこの五色泉の説明を受ける。


「え〜。この五色泉はその名の通り五色の泉があり……んっ、
 それぞれいろいろな伝説が受け伝えられているんじゃが……んっ。」


私はぐったりしながら話を聞く。

ナルトくんは落ち着きがなく常にあっちこっちキョロキョロするもんだから
ある意味乗り物酔いをしちゃったわけよ。


うぅ〜…。
やっと落ち着いた……。


「中でも、一番有名なのは……んっ、『神隠しの泉』じゃな……んっ。」


なんかすごそうな泉だね……。
……でもそれよりも管理人さんのほうが気になる……。


ナルトくんも気になるのか『んっ』と言う度に体に力が入っている。


「ここの泉に入ると神隠しにあうという……んっ、伝説があるのじゃ……。」

「「!!」」


ナルトくんと私はガクッと体を揺らした。


「じーちゃん、その『んっ』ってやつ
 言うか言わないかどっちかにしてくれってばよっ……。」


うんうん、私もすっごい気になるっ!


ナルトくんの頭の上で頷く。


「ん?なんか言ったかのぅ?」


しかし、おじいさんは耳が遠いのかわざとなのか聞こえていないようだ。


「ちょっと、ナルト!あんたは黙ってなさいっ!!」


さらにサクラちゃんに怒られ、私とナルトくんはしゅんとなった。


おじいさんの話では、

ここ、五色泉にはその名の通り五つの泉があって、
エメラルドグリーン、赤茶、コバルトブルーなどそれぞれに違う美しい色をしており
火の国でも有数の観光名所らしい。
近年観光客の急増に伴い、ゴミのポイ捨てやいたずらなどで荒れてしまったため、
今日はその清掃を依頼した……ということらしい。


管理人のおじいさんに翻弄され続けながらもなんとか話を聞き終えると早速作業に取り掛かった。




開始早々カカシさんは「用事がある」と言い、どこかに行ってしまった。
そのため、今日はそのままナルトくんに張り付いたままみんなと一緒に行動を共にしていた。


「ピーッ!ピッピッ!」


カカシさんを呼び出すために与えられた笛(通称カカ笛)を有効活用し
ナルトくんの頭上から3人に指示をだす。


「ピーッ。」


これは集合。


「ピッピーッ。」


これは次の場所に移動。

これらの合図をたくみに使い分け、
私の指揮のもと(?)ゴミを拾い、柵を整備し、少しずつ順調に作業を進めていった。



そんな中、事件は起こった。



それは、神隠しの泉を掃除している時だった。

今までと同じく、4人仲良く?作業をしていると、
サスケくんのはらった土がナルトくんの方へ飛んできた。


「サスケてめぇーわざとだなっ!!」


ナルトくんはは顔についた泥を手で拭いながらサスケくんをにらんだ。


「それがどうした、ウスラトンカチが。」


サスケくんはあおるようにさらに土をはらう。


「キュルッ!」


ケンカはだめだって!
私が巻き込まれるじゃん!


「あやまれってばよっ!」


ナルトくんが一歩足を踏み出す。
それを見たサスケくんも一歩踏み出した。


「………フンッ、断る。」

「サスケーっ!!」


ナルトくんはサスケくんに飛び掛った。

あれからずっとナルトくんにはりついていた私はそんな2人の動きについていけるわけもなく。


「キュルーーーーッ!!」


ぎゃーっ!!
だから言ったのにー……。







ボシャーンッ………。






私の腕力は遠心力にまけ、ナルトくんの頭から吹き飛ばされると
そのまま泉へと一直線に飛んでいった。


私、犬掻きなんてやったことない…よ……。


吹き飛ばされ泉に落ちた私は、それを最後に意識を失った。




MENUNEXT

10000打記念フリー夢です。
ペットライフ番外編にしてみました。
雪さんのリクエストです。相手は次回登場しますので待っててね。


ILLUST BY/ふるるか