1-召喚されし者。





逢いたい人がいる……

逢えないと解っていても

逢いたくて、いつか会えることを

夢見てた……






NARUTO-もう一つの世界-暁の奇跡-






の場合…



代わり映えしない毎日。
朝、目覚ましの音と共に起きて、遅刻しないように早めに家を出て仕事場に向かい、
21時の甘ったるいラブドラマの始まる時間に帰ってきて、疲れて夕飯を作るのが面倒で
コンビニ弁当を食べて、甘ったるいドラマを適当に見て、空の弁当箱を捨て、着替えを持ってお風呂に入って
明日のためにベットに入り寝る。

それは毎日繰り返される……
パパは仕事が忙しく、あまり顔を合わすことがない。
ママも……やっぱり忙しく相手してもらえない。
たまに会うと何故だか2人とも泣いている。
亡くなった姉の写真の前で……生きている私には見向きもしてくれない。

「やっぱ、今日も仕事かぁ…もう2ヶ月近く逢ってないなぁ」

久しぶりの休みをもらった私は両親に逢いたくて電話をかけてみる。
けれどいつも、誰もその受話器を取ることはない。

「たまの週末くらい仕事断って休めばいいのに……
なんか 見捨てられた…感じ…」

私はベットに仰向けに寝ると両腕で顔を隠すようにして一人で泣く。
これまで何度泣いたことだろう。
聞いてもらいたい悩みや愚痴、たくさんあっても聞いてくれる人が居ない。
友達がいないわけではない、ただあまり社交的ではないため、なかなか誰かと打ち解けることがない。

「………あ、そういえば今日、NARUTOの発売日だったなー…少し気晴らしに出かけてみようかな…」

それから私は身支度をして、部屋をでる……



火の国のとある森……


「…というわけだ。これで今週の動きは決まった。各自、帰ってもかまわん」

散!の掛け声とともに集まっていた影たちは消えた。

暁火≠フアジト

「ふわぁぁぁ!たっく!リーダーは話が長いんだよ、うん。」

「ああ、特に今日は半端じゃなかったな…」

「だろだろ〜。でもイタチがそんな風に思っていたなんて意外だな?うん?」

「俺だってたまにはそう思うさ」

ソファに腰掛、2人はそんな短い会話を交わす。
もともと犯罪者の集まりと言う場所なため、全員が同じ場所にいることは少ない。
しかし、今日という日は違っていた。
全員が同じ部屋にいたのだ。それはまるで、これからおおきな何かが起こるかのような
そんな感じだった……

「なぁ…」

「なんだ?」

「つまんない…うん」

「………なにがしたい?」

少しの間のあと、イタチはデイダラに尋ねる。
自分のつぶやきに答えてくれたことがよほど嬉しかったのか、彼は大きな瞳をキラキラさせながら笑顔で答える。

「印の練習がしたい、うん!」

「……そんなの、一人ででも出来るだろ?」

「一人じゃダメなんだよ。オイラ、自分の力を確かめてぇからな、うん」

ディダラはそう言いながら立ち上がり、向かいのソファでうたた寝をしていたサソリと鬼鮫を起こす。
そして、マントの中ポケットから4枚の紙切れを取り出すと全員にそれを配った。

「これは……?」

「そこにいろんな印の組み合わせが書いてあるだろ。
その印を全て組むんだ。まぁ、誰が一番早く終わるか、競走ってことだな、うん」

「……くだんねぇな…」

「いいじゃねえかよ。たまには間接を動かさねえと錆びちまうぞ。
旦那、うん」

「………チッ」

ディダラの言葉に身に覚えでもあるのか、サソリは軽く舌打ちをすると、紙切れの文字に目を通し始めた。

そしてそれぞれが手元の紙切れの印に目を通し終わると競争が始まった……

「馬……戌…寅……午……子…巳……酉……丑…卯…酉…」

「卯……牛…寅……午……子…寅…巳………丑…卯…酉…」

「子……牛…戌…午……子…寅…巳……酉……卯…酉…」

「戌……牛…戌…寅……子…寅…巳……酉……丑…卯…」

さすがはS級の犯罪者たちというべきか、彼らの指の動きは一般人の肉眼では追えないほどの速さ。
100以上の印の組み合わせがあるにもかかわらず全員とも数秒の内に、ほぼ同時に終わらせる。

「……戌!やったぁ、これで終わり、うん!」

「いい運動になったな。そろそろ休もうか…明日も早いから………な、なんだ!?」

イタチは寝室へ向かうべくソファから立ち上がるとアジトは突然大きく揺れ始めた。
もちろんこの世界にも地震は存在する。
しかしこの揺れはどう考えてもただの地震ではないことが分かる……

それはイタチたちはアジトの外へ移動すると、不思議なことに外はシンと静まり返っていたからだ。
もちろん、外から見ても分かるほどにアジトが揺れているにもかかわらず。

「お、おい!いったいどういうことだ!」

「わからん…ただ何かが起きていることに代わりはないがな」

突然の出来事に4人の男たちは目を丸くし、しばらくの間その光景を眺めていた。








BACKMENUNEXT



2006年10月31日    ILLUST BY/ふるるか