5-大きな賭け





「え?あの石造の宝石が取れなかったの?」

必要なものだから取りに行こう!と言うことと、廊下奥の扉はロックされていて鍵がないと開かないと言うことで来た道を戻ることになった。






Hop!Skip!Trip!!-Biohazard 2-ウィルス-






「まぁ、大体のゾンビどもは撃退したからな。安心して進めるんだが…」

「だが?」

「…気味の悪い化け物が1匹、受付へと続く通路にいる」

「リッカー?」

レオンの言う気味の悪い化け物が受付近くの通路に居る。と言われるとリッカーしか思い浮かばない。
その化け物の特徴を詳しく聞いてみると案の定、リッカーだった。

「あー。ハンドガンやショットガンでも倒せることは倒せるけどね。頭打ちぬくか、死ぬまで動きを止め、撃つしかないよ。
じゃないとあの長い舌で此処をぐさっとされて終わり…」

額を指でつんつんと当てながら説明しているとレオンに不思議な顔をされた。

「リッカー退治方がそれだとして…どうしてそんなに詳しいんだ?」

………しまった!余計な事を言ってしまったよぉ…
やばやばやば…どうごまかそうか?

「え?あ、えっと…話したら置いて行かない?」

「置いていかないさ…生存者は全員助け出したいと思っているからな」

「実は…過去と未来の一部が分かるの」

「過去と未来…ふざけているのか?」

思いっきり信じていないという眼差しを受けてしまった。
これ以上いい嘘をどう吐けと?もともと嘘を吐くのが上手い方ではないしさ…

「ふざけているわけじゃないさ…そうだなー、じゃあ、今まで起こったことと、これから先起こることを
話そうか?」

宝石を取るために両端の石造を移動させながらそう言うとレオンは少しの間の後、話してくれと答えた。
どっちを話そうと一瞬迷ったが、まずは過去を話すことにした。
ただ単にレオンがこの町に来てから今までのことを話すんじゃなく、彼がこの町に来ることになった理由、またシティに来るまで何があったかを話した。
もちろんはじめはそんな過去や未来が分かるはずなんて…≠ニいった風な彼だったが
話している内に彼の顔色は驚きから青ざめたり赤面したりしていた。

「も、もういい!がそういった不思議な能力があることは良ーく解った!」

「え…でもまだ未来のこと話してないけど…」

「い、いや!もう十分だ!うん!さくさくと進もう!そうしよう!」

えー、と不満そうな声を出してみるが内心ガッツポーズを決めてみる。
これがクレアだったらもっといろんなこと聞かれたと思うが…なんせレオンはバカだからね。ちょろいもんさ!はっはっは!
無事、石造の赤い宝石を手に入れ、会議室の宝石も取っていないと言うことで取りに行き、今、私たちはリッカーが待ち受けているであろう廊下へと続く扉の前にいた。
あ!会議室へ向かう途中、レオンが腕ゾンビたちに捕まって焦っていたということを忘れるとこだった。
あの時は見ていて面白かったなぁ…

「今の武器じゃ頼りないんだろう?どうするつもりだ?」

「リッカーはあの姿のせいで視力がかなり退化しているの。ほとんどなにも見えないと言ってもいいぐらいにね。
その代わり、聴覚が異常に発達している…ここまで言えば解るよね?」

「ああ…つまりは物音に敏感なんだな…遭遇したときのように天井に張り付いていればダッシュすれば避けることが出来るだろうけど…」

たしかにレオンの言うように、天井に張り付いていれば問題ないけど…それはあくまで一人だった場合。
2人だとあの狭い通路をそのまま走り抜ける事は難しいと思うけど…

「要は音を立てなければいいんだよな?それだったら、まずはやつの横をゆっくりと移動し、それなりの距離を取る事が出来たら
ドアの方へダッシュする…
100%上手く行くとは言えないが…やってみる価値はあるんじゃないか?」

……たしかにそれが一番簡単な方法だけど…心臓の音でも聞こえてしまうんでないかと怖いんだけどね…
でもこのままじゃ時間ばかり無駄になってしまう。この町の未来がどんなものなのか知っているから…ぐずぐず出来ない。
覚悟を決めないと…生まれて20数年。これほどまでの覚悟を決めないといけない羽目になるとは夢にも見なかったよ。

「ちょっと不安だけど…それしかないよね…」

「心配するな。何かあったときは俺が護って見せるさ」

そんな臭い台詞をスラスラと口にするレオンに苦笑を漏らし、そんときはお願いね≠ニ返す。
2,3度深呼吸をし、ノブに手をかける。ゆっくりとドアを引き、まずはリッカーがどこにいるのかを確かめる。
運のいいことにモンスターは天井に張り付いていた。それにしてもゾンビたちもそうだけど、リッカーなどは出来れば長い時間見ていたいと思わないな。
かろうじて人だと思える姿と生きた肉の塊のようなその姿があまりにも気持ち悪い。
気分が悪くなる前にやつから目を逸らし、床の方を確認する。
やつからそう離れていない場所に血溜まり、その少し奥には瓦礫、そしてその奥にはこっちから見て左側に死体。それぞれの大体の位置を確認しレオンに伝える。

「今のドアを開けた時の音でやつはこっちに向いているの。通路も真ん中に血溜まりと瓦礫、その奥、カーブの近くに死体があるわ。
とりあえず、レオンが言った様に、リッカーの横を通り過ぎるまでは右側を歩いたほうがよさそうね。
曲がり角に差し掛かったらそこからダッシュすれば逃げ切れると思うから」

「そうだな。じゃ、俺が先に行こう。上手くいかなかった場合、俺がやつをひきつける。
はその間に逃げればいい」

「了解…」

ゆっくりとドアを開け、レオンが中に入る。その後は私。
とにかく少しでも音を立てないよう、慎重に進んで行く。やつの目は退化しているかも知れないけれど、聴覚は地獄耳≠謔闕唐ュ敏感になっているから。
そろそろ…とリッカーの横を通り過ぎていくレオン。このまま上手く向こう側までたどり着けるかな?と胸を撫で下ろしそうになったとき…

ううぅ……

「!!こいつっ!!」

「レオン!!」

カーブ近くの死体がゾンビとなってレオンの足首を掴んだ!?
ちょっと待て!ここの死体ってゾンビにならなかったはずなんじゃないの?どういうこと!?
先ほどの音を聞きつけてリッカーは地面に降りた。

「くそっ!」

足元に絡みつくゾンビに発砲を浴びせるレオン。今の発砲音を聞きつけたリッカーはまっすぐと彼の方へと向かっていく。

「レオン、逃げて!!」

「くっ!!」

ど、どどどうしよう!先ほどのゾンビはなんとか倒したけど、彼の手はいまだにレオンの足首を掴んでいる。
こんな序盤からゲームオーバーなんで嫌だよ?レオンが逝っちまったら私も自動的にここで終わりだし…

「え〜い!こうなったら!!」

瓦礫のところまで行き、数個手に持ちそれを思いっきりリッカーめがけて投げる。
わーお。こんなときだけ命中率がいいんだからぁ。ちゃんって!
おもいっきりやつの視線を自分に向けてしまったでねーか……

「ひっ…ぎゃーーーー!!こっちくんなぁああ…って、レオン!早く向こうに行けよおおおお!!!」

「ぁ……」

間の抜けた顔をしたレオンを尻目に私は振り出しに戻る……








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2008年5月30日    PHOTO BY/LOSTPIA