イチゴ牛乳とKiss…
NARUTO-そのドアの先には…
暁/イタチ編
イチゴ牛乳とKiss...
おまえが通り過ぎるたびに
甘い甘い香りが部屋を独り占めする…
おまえが歩くたびに
かすかに香る風を巻き起こす…
それはまるでイチゴのように甘く、けれどけっして
甘すぎない香り…
俺はそんな香りのおまえに恋している。
「イタチー!今週の任務は私とイタチでペアを組むことに決まったよ!」
とびっきりの笑顔で俺の下に駆け寄ってくるおまえは
残り少ない夏の頑固な日差しに照らされ、
頬を染め、少し汗ばんでいた…片手に苺牛乳を持って。
「そうか…そんなに急いで来なくてもよかったんだぞ…?」
「…だって、誰かに言われる前に…ちゃんと自分の口から伝えたかったんだもん!!」
ああ…そんな笑顔で言われたら…
少しばかりか、俺はかなり期待してしまいそうだ……
俺の気持ちに気づいていないおまえは、今週の任務について説明を始めた。
いつになく元気に話すおまえのことを見つめながら俺は
心の中で神様に願いごとなんかを言ってみる…
「…チ……イタチ、聞いてるの?」
「えっ……ああ…」
に呼ばれ、俺は現実へと引き戻された。
少し心配そうに顔を覗き込んでくるおまえと目が合うと、俺は、ガラにもなく
逸らしてしまう…
「今日のイタチ…少し変だよ?……もしかして、私と任務は…嫌?」
悲しそうに俯き、力のない声でおまえは問うてくる。
おまえに対し感じる愛はおまえに伝わることなく、逆に悲しい思いをさせてしまう……
こんなとき、俺は恋愛に対してあまりにも未熟な自分に腹が立つ。
「……」
……違うんだ……
その一言が言えず、黙り込む俺の行動がおまえを
誤解させてしまった……
おまえの、その、美しい灰色の瞳から
滴が零れ落ちる……
「…!?」
「ご、ごめん!……私…リーダーにペア、変えてもらえるように…頼んでくるね」
「待てっ!っ!!」
頬を伝う涙を拭い、おまえは薄い笑みを浮かべ、
走り去ってしまう……
俺は迷わずにおまえの後を追いかけるが、なかなか追いつくことが出来ない……
そして待てと掴んだ腕はいつになく細くまるでガラス細工を扱うみたいだ。
「違う…違うんだ……」
そう言ってそのまま抱きしめればおまえは体の力を抜き、そっと俺の腕に触れてくる。
「イタチ…やさしくしないで…私…」
「……」
口篭ってしまったお前の髪にそっと唇を寄せ、軽く、ほんとうに軽くキスを落とすと
香ってくるシャンプーの香り。そしてその香りによく似合うお前の赤い頬が微かに見えた。
ああ…どうしてこうも愛しいのだろうか。
いつだっただろう…鬼鮫が言っていたな。
さんは彼女の好きな苺牛乳のような方ですね≠ニ。
今なら解る気がする。
甘いだけの苺。
大した味気もない牛乳。
その二つが合わさったとき
どれだけの優しい香りと味がするのかを。
言葉ではなくそっと重ねた唇から感じた。
甘く柔らかな味。
突然の行為に気づいた俺たちの驚いた顔はすぐに笑顔に変わる。
味気のない俺の心に甘いおまえが。
甘いおまえの心に味気のない俺が。
イチゴと牛乳のように。
おまえと俺の相性は抜群だった……
確かめるためにもう一度口付けを交わす。
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2007年11月1日 ふるるか