向日葵と太陽
あなたは約束を守ってくれた
絶対に帰ってくると…
何よりもそれが嬉しい…
NARUTO-そのドアの先には…
サソリ編
向日葵と太陽…
サソリが迎えに来て、が里を抜け、4ヶ月が過ぎた…
戦闘能力、追跡能力、そして医療忍術に長けていたは
難なく暁に入ることができ、彼女はサソリとペアを組むことが多く、
それはまるで20年の空白を埋めているようだった。
夏の太陽が静かに肌に痕をつけてくる季節、二人は久々の休みなため、砂の里に来ていた。
20年前と同じ姿で愛桜並木道を少し先に歩くサソリの後姿を、昔と同じように追いかけていたがふと今まで疑問に想っていたことを尋ねる…
「ねぇ、サソリ…里を抜けた後、サソリはずっとどうしていたの?」
「…………」
「あ!言いたくないなら別にいいんだよ!」
無言で俯いてしまったサソリに慌てて謝る。
サソリはよく3人で他愛ない話をしていた古木の横に腰掛、青空を照らす太陽を眺める。
は余計な事を聞いてしまったな、などと考えながら静かにその横に腰掛ける。
二人は何を話すでもなく、ただ、空を照らす太陽を眺めていた。
どのくらいの時間、二人は眺めていたのか、サソリがふと口を開いた…
「里を抜けた後…」
「……」
「里を抜けた後、俺は里からそう遠く離れていない洞窟の中に身を潜めた…」
サソリはポツリポツリと里を抜けた後の話を始めた。
は彼の一言すら聞き逃がさないように真剣に耳を傾け、聞いている…
「…俺は全てを失った…そう思ったんだ。アンズを失った俺の心には大きな穴が出来ちまった…」
アンズねーちゃんのこと…それほどまでに本気だったんだ…
チクリと痛む胸を押さえ、尚も彼の話に耳を向ける。
「…このままじゃいずれはヘマをして捕まってしまう…
けれど心のどこかでそれを望んでいる自分が居た…
捕まり、殺されてしまえばアンズのところに行ける…そう想った…」
暫くの間の後、サソリはけれど…≠ニ言ってまた俯いてしまう。
それっきり何も言わなくなってしまったサソリの言葉をは待った…
「………けれど………俺はおまえとの約束を思い出しちまった。
必ず帰ってくると…」
「私との約束…」
サソリの言葉に少し、胸が高鳴るのを感じる。
あの後、少しでも自分のことを考えてくれたんだと…
「心の喪失感は大きかった…けれど…おまえの笑顔が…
まるで向日葵のような笑顔が俺に生きる希望を与えてくれた…」
「…サソリ…」
「だから俺は…朽ちることのない体を手に入れたかった。
いつかおまえと再会できた日に…おまえがすぐに俺だと気づいてくれるように…」
サソリは愛しそうな眼差しでを見つめる。
太陽に照らされた彼の焔色の髪が光に反射し、それは、見る人の心を奪ってしまうほどに美しいものだった…
「…私…ア――…」
アンズねーちゃんの代わりになれる?
そう聞こうとしたの唇にふわりと何かが触れた…
それは冷たく、けれど心を暖かくするような…
それは…サソリからの口付けだった。
唇が離れた後、彼はそっと彼女の唇をなぞる…
それはどこかくすぐったく、けれど気持ちのいいもの…
「おまえは…誰の代わりでもねぇ…おまえはおまえだ…」
「俺は…」
俺は太陽…
いつも明るく俺の背中を見つめていた
向日葵()を求める太陽…
だから…これからは…
桜の涙に濡れていた二人の道を…
明るい向日葵色に染めることが出来るよう
願う…
俺は…
おまえが大好きだ―――…
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2006年7月31日
2007年5月1日
ILLUST BY/ふるるか