永久の迷宮…





永遠なんてものはない…

生きるものはいつか死に…

死んだものはいずれ土と同化する…

命なきものもいつかは朽ち果てる…

そしてこの想いも…

いつか朽ちてしまうのでしょうか?






NARUTO‐そのドアの先には…
暁/サソリ編



永久の迷宮…







永遠こそ最高の芸術だ!
あなたのその口癖、そのときの表情…今でもはっきりと想い出せる。
あなたはいつも愛する傀儡たちをその腕に抱きしめ、
優しく微笑みながら話していた…
その笑顔が大好きで…私はいつもあなたの側にいた。
永遠なんて信じてはいなかったのに…

けれど…あなたが口にすれば、私はそれに同意して…
その言葉を信じるフリをする。
そんな偽りの私にあなたはあの時言ったよね…

の笑顔も芸術だな≠チて…

恥ずかしくて照れ笑いをする私にあなたはそっとキスを落とす…
嬉しくて泣いてしまったらあなたは困った顔をして抱きしめてくれた…
もしいつかが俺の本当の姿を知っても好きで…
好きでいてくれるなら…俺は…世界一の幸せを掴んだ
永遠の芸術家になれるだろう…

あの時はあなたの言いたいことが解らなかった…
解ろうとはしなかった。けど…今なら解る。
あの時のあなたはすでに自分の運命に気付いていたんだと…

永遠を信じていたあなたが…
永遠を捨ててしまう瞬間、わたしは動けないでいた…
見たこともないあなたの姿…
本物の蠍にでもなってしまったかのようなあなたの姿…
旦那でもサソリでもないあなた…
怯えた目をあなたに向けてしまった私…
そんな私にあなたはどこか寂しげな笑みを浮かべ
…愛してる…≠ニだけ言い残し戦いの場へと向ってしまう…
これが二人にとって最後の…あなたにとって、私にとっての最後の言葉となったまま…

………あえて言うなら……人形になりきれなかった人間…か

その言葉をあの場にいた全員の胸に残し、
あなたは二度と動かない屍となった…
頭が真っ白になった…大好きで大好きで…
やっと気持ちが繋がったのに…
やっと…永遠と言う言葉を信じ始めていたのに…
あなたの時間は此処で…止まってしまった
二度と…二度とあなたの声を聞くことも、
あなたの微かに暖かい吐息を感じることも…
許されない…

の笑顔も芸術だな

「うそつき…」

…愛してる…

「愛してるなら置いてかないでよ…」

おまえがどんなに皺くちゃの婆になっても離れないさ

「離れちゃったくせに…」

一生側にいてやる…

「先に逝っちゃったくせに…」

もしいつかが俺の本当の姿を知っても好きで…
好きでいてくれるなら…俺は…世界一の幸せを掴んだ
永遠の芸術家になれるだろう…

「私っ!まだ…まだサソリに…ヒック
“本当の姿見ても大好きだよ”って…大好きだよって…言えてないよぉぉぉぉおお!!!!

私はその場に崩れた…動かないあなたを抱きしめ、次から次へと溢れてくる涙を我慢しないで…
あなたの名前何度も何度も口にしながら…

ポツリポツリ…

サソリの顔に落ちるの雫はまるで彼自身が泣いてるかのように目元から流れ落ちてゆく…

あれから数年…今、私はあなたの部屋にいる…あの後、あなたの抜け殻を抱え必死になって逃げた…
ずっと忘れないようにとあなたを此処につれてきた…



今の暁は私だけ…

デイダラは鬼と木の葉の忍たちに追い込まれて逃げ場をなくし、自ら起爆粘土を使い去ってしまった…

ゼツは…カカシの雷切で心臓を貫かれ…鬼鮫はイタチを庇い…

そして…イタチは…弟、サスケの手により戻らぬ存在となってしまった…

そのほかのメンバーもそれぞれ色んな形でこの世を後にした…

それはあなたが去って一年もしない間に起きた出来事…
残った私は…アジトには居たくないと言う理由で引越しをした…
今は結婚もして子供もいる。
幸せ?と聞かれれば幸せと答えるかも知れない…
けれどあのころのようには…

さっきもみんなの部屋を見て回ったんだよ…

鬼鮫の部屋は埃まみれというわりには綺麗に片付いていて、 ベッドの上には愛着のエプロンが置いてある…

イタチの部屋は殺風景で、今はボロボロの愛読書たちが 棚の中で綺麗に並んでる…

ゼツの部屋は…何も植わってない鉢がたくさん…

デイダラの部屋は彼の作品が砂になってしまったため… 砂に埋まった感じになっている…そして…

「あなたの部屋はね…埃と錆びた傀儡パーツと… 二人で作った傀儡たちとあなたがいるの…
傀儡もあなたもかなり朽ちてしまっている… あの時の面影はほとんど残ってないの…
それでもね、それでも私はあなたを愛してるよ…
此処にくると昔の 思い出が幻影になってよみがえるの…

本当はもういないはずなのに…もう感じないはずなのに…
鬼鮫の作ったおいしそうな食事の匂いと 、イタチの鬼鮫におい、鬼鮫…お茶≠ニ言う声…
デイダラとゼツのテレビを見て笑ってる声…
あなたが私の名を呼んで抱きしめてくれる温もり…
全部蘇って来る…全部…夢なのにね…」

永遠なんてものはない…

生きるものはいつか死に…

死んだものはいずれ土と同化する…

命なきものもいつかは朽ち果てる…

けれど未だにあのころの思い出は朽ちることなく…

永遠と言う名の迷宮を彷徨っている…出口が見つからないまま…

「今のあなたはまだ永遠と言う言葉に酔っているのかな。それとも…

来世に向って頑張っているのかな…」

私はこの迷宮を彷徨い続けている…あなたを…皆を求めて…







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2006年4月26日
2006年8月1日
ILLUST BY/ふるるか