悪魔の祈り…
俺と君の出会い…
これから二人を祝福してくれる優しい木の葉日和…
にはならなかったぜ、ホント…
NARUTO‐そのドアの先には…
暁/飛段編
悪魔の祈り…
それは俺がいつものように何かを殺したあと、いつものように儀式を
していた時に起きた出来事だった…
「あれ〜…確か此処ここで待ち合わせだったと思ったんだけどなぁ…」
森の奥から誰かを探しているのか、まだ幼さの残る少女の声が聞こえてきた…
チッ!儀式の最中だってのに…とんだ迷惑だな、ホント
儀式の邪魔をされるのが大嫌いな俺はこのときかなり苛立っていた。
そんなこととは知らない声はドンドン俺の方へと近づいてくる…
ホントなら此処で一発、渇!!(デイダラじゃねーぞ!)としてやりてーが
途中で儀式をやめるわけにもいかないので…
我慢していた。
「――たら…どこにいるんだろ…!!!キャー!!」
チッ!見つかっちまったか…めんどくせーなぁ…
儀式をする俺をとうとう見つけた少女は死んでるの?とか、どうしようとか一人で騒いでいた…
畜生!これじゃ集中出来ねーじゃねーかよ!
と勢い良く起き上がり、文句を言いたかったが…
祈りを途中で投げ出すのは神への冒涜なため、辞めといた…
しかし…
「わぁ…かなり美形なのに…それにしてもこんなに大きなクイを胸に刺してるなんて…まるで吸血鬼ね!」
姿は見えないが気配で少女が俺の周りをグルグルと歩いていることぐらいは解る…
マジで鬱陶しーぜ、ホント…
そろそろ我慢の限界だった俺…そんなことはつゆ知らずの少女は決定打を俺にプレゼントしてくれた…
「よく考えてみたら…見た目も吸血鬼のようだわね…
はっ!もしそうだとしたら危険だわ!もっとクイを奥まで刺しこまないと!」
グサッ☆
「あっぎゃああああああああああ!!!!」
「きゃあああああああああああああ!!!!」
思いっきり俺の胸にクイを押し込んだ少女…(マジで心臓を突き刺すとこだったぞ!ホント!)
しかも死に掛けた俺より叫んでるし…
突然悲鳴をあげた俺に驚いた少女は勢いよく後に倒れ、尻餅をついてしまった…
心の中でざまーみろ!けっけっけ≠ニ笑っていた俺の顔になぜか生クリームのパイ皿が飛んできた…
「げーーーー!!!俺、生クリームきれーなんだよ!」
ゲーゲーいいながら顔にかかったクリームを拭っている俺に今度は回し蹴りをお見舞いする彼女…
俺…恨まれるようなことしたか?
「イデッ!イデッ!なんだよ!俺なんかしたか!?ばっ!!クイを蹴るんじゃねーよ!!
俺マジで死んじまうって!!」
「吸血鬼の分際で!!早くくたばっちまえ!!」
吸血鬼…?え?それって俺のこと…?
などと考えてる間にも、少女はどこから取り出したのか、聖水やらにんにくやらを俺にぶつけてくる…
いってーーよ!!…てかなんで聖水が俺に効くんだよ!?
え?もしかして俺って本当に吸血鬼だったの?え?え?
「これで最後ぉおおお!!!」
近くに落ちていた俺の鎌を拾い、俺を目掛けて振り下ろす…
斬っ!!
あ、星が見えてきた…
嗚呼…こんなに早くくたばっちまうんだったら皆と…火のアジトのやつらと仲良くしておくんだった…
てか…
イタチの団子を毎晩盗んでること…それに対し、濡れ衣を被せられ、毎日月読を喰らってる鬼鮫…
サソリの傀儡の部品を引っこ抜いては毎回役立たずにしてしまったり…
デイダラの十八番用粘土に豚の糞を混ぜたり…
ゼツが昼寝してるときに葉っぱに酸を降らせたり…
角都の貯金箱を壊し、その金でアイス買ったり…
こんなことなら…あいつらに…
もっとやっておくんだった…
「あんた…そんな酷いことしていたの?」
「あれはやっぱりおまえだったのか…」
「そうだぜー!アレは俺だ…ああ?…ヒッ!!」
いつの間にか声に出していたのだろうか、少女は俺のことを哀れむ目で見ていた…
そしてこれまたいつの間にか、俺の目の前で鎌を受け止め、何故だか殺気を全開に放っている
角都…もしかして今の全部聞かれた?
「あ、あは…あははは…」
「はっはっは…」
「うふふふ…」
とりあえず空笑いをすると少女も角都もそれに合わせてくれた…
「「「はははは!!!!」」」
「笑い事じゃねぇええええやあああああ!!!!」
ザシュッ!!
「のわ!!」
間一髪!笑いで和んでいた俺たちだったが突然、角都が攻撃をしてきた。
なんとかそれを避けた俺は…正直、あまり奴の顔を見たくはない…
それからは、先ほどとは打って変わって男同士の追っ駆け合いが始まった…
それは正直…キモイ…
暫くそのキモイ追いかけっこを続け、両者とも疲れ果てたとこでやっとこさ話しを本筋に戻すことが出来た。
「と、ところでよ…おまえなんでこんな人気のないとこに…?」
「角都さん!ずっと探していたんですよ!」
俺のことは無視かい…それよりなんでこいつ角都のこと知ってやがるんだ?
「おまえ、誰…」
「角都さん!」
また俺を無視し角都の名を呼ぶ少女…
「なんだ?」
「…ただ呼んだだけです…」
「う゛おおおおい!!わざとらしいことすんなよ!!それより俺を見ろよ!!」
先ほどから見事に俺を無視してる上に、俺の顔すら見ようとはしない少女に俺はキレた…
ええ…大人気ないですとも!解ってますとも!
うっかり別の漫画のキャラ口調が出てしまったとも!
でもよー…こうも無視されるとイライラしてくるだろ?そうなるとよー…
「あんな物はほっといて…それより角都さん…あの話しは本当なんですか?」
「ああ…」
あんな物って…物って…俺は人間ですらないのですか?
まぁ、たしかに人間離れしてるとこもあるっちゃあ、あるけど……ああ、虚しくなってきた
「リーダーがおまえの力を借りたいと言っている…もちろん給料は弾むし、
何よりもすぐに正式メンバーになることが出来る…悪い話ではないだろ」
拗ねて地面にのの字を書いていた俺の耳になにやら暁入団への誘い話が聞こえてきた…まさか…まさか、OKしないよな?な!?
「そうですね…面白い物も見つけましたし…いいわよ!」
そんなああああああ!!!!それに今、明らかに俺のほうを見たよな!?
面白い物って俺なのか!?ソウナノカ!?
あまりのショックに最後の方はゼツになってしまったが…
明らかに俺の方を見て面白いもの発言と黒いオーラーを放つ少女に俺は体の底から震えると言うことを覚えた…
そんな俺のことをかばうこともしない…むしろ楽しんでいるとしか思えない相棒は俺に声をかける。
「と言うことだ…今からアジトに連れて行くが…もう仲間になったも同然、名前ぐらいは覚えておけ」
「です。よろしくね、え、っと…」
ノ――――――――――――!!!!
そ、そんな語尾にニコっとつきそうなぐらい微笑まないでくれぇええええ!!!
マジで怖いって!ホント!
「飛、飛段…」
心の中で怯えながらも自己紹介をする俺…ああ、なんて礼儀正しい奴なんだ!
握手を交わす俺はこの先、どっちみち恐怖の毎日になることは別として
彼女のと言う名前が忍び世界でもっとも恐れられているとはこのとき…気づくことはなかった…
(そりゃあ、チビリそうなぐらい怖かったしな…)
そして彼女と出会ってから5年後…俺はもっと恐怖することになる運命にあるとはこのときは想像もしなかった…
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2006年8月5日
2007年5月1日 ILLUST BY/ふるるか