4-始まり。
モーグリたちのことを以上なまでに怖がる彼女に敵じゃないと話、なんとか落ち着いてもらった。
そして彼らに礼を告げ、俺たちは出口へと向かう。
Important Feelings-Final Fantasy 6-
「モーグリたち…恩にきるぜ!」
「あ、ありがとうっ!!」
2人の少女を出口まで運ぶのが大変だろうということでモーグリたちは出口まで共にきてくれていた。
いまだに少し彼らに怯えている感じだが黒髪の少女も彼らにお礼の言葉を述べる。
彼らが帰るのを見送った後、俺は背負っていたエメラルド髪の少女を下ろし、奥の壁へと向かう。
「ところでさぁ…お前、どこから来たんだ?」
「えっと…その……」
「ガード兵たちに追われてたってことは、ここの者じゃないだろ。でも丸腰だしよ。
確か、このスイッチで…」
壁の怪しい出っ張りを引っ張ると、ガコンと音を立てて入り口が開く。
今だに俺の問いに答えようとしない少女を少し不審を感じたが、今はここを出ることが先だ。
だがせめて呼びやすいように名前だけでも聞いておこうと彼女の下に向かうと、あ…と小さな声が聞こえた。
「……大丈夫?」
「ん?気がついたのか」
「ここは…わたし…助かったの…?」
ゆっくりと上体を起こす彼女に「モーグリ達に感謝するんだな」といってあげると、何のこと?とでも言いたげな感じに
首をかしげた。もう一人の少女はすこし渋っていたが。未だにモーグリが苦手と見た。
「うっ…はっきりと思い出せない。その前も…ずっと前のことも…名前すらも…」
「記憶が無いのか!?」
「でも時間が経てば戻るって……」
名前すら思い出せないと言う彼女の言葉に俺の中で何かがはじけた。
ずっと思い出したくないと思っていた記憶が一気にフラッシュバックする感じに。
「記憶が……安心しろ。俺が必ず守ってやる!必ずだ!!」
「え…」
「記憶を無くした…俺は…見捨てたりしない……必ず守ってやる!!」
そう、何があっても守ってやる。
あんな後悔はもうごめんだ。などと一人考えていると、
後ろから「男の約束事なーんて信じないほうがいいよ」と聞こえてきた。
あのなぁ……
とりあえず言いたこと、聞きたいことは山ほどとあったが、ここを離れるのが先だ。
まだ上手く歩けない黒髪の少女に肩を貸し、俺たちは炭鉱から離れた。
すぐにナルシェを離れ、フィガロへと向かってもよかったが、2人とも疲れきっているようなので、すぐ近くの
初心者の館と呼ばれるその名の通り、旅の初心者を手助けする館で休ませてもらうことにした。
「さぁ、ここなら安心だろう。それで、君はいったい…?」
「え?私?」
「ああ、君は彼女のように記憶が無いと言うわけでもなさそうだし…帝国の者ではないよな?」
帝国の者なら大体の目的は分かる。そうだとするならばここで切り捨てるしかないと考えた。
しかしその考えもすぐに振り払われる。なぜなら彼女が勢い良く首を横に振ったから。
「悪いけど話がぜんぜんわかんないよ。確かに記憶喪失ではないけれど…その、なんて言えばいいのか…」
「一緒に連れて行けないの?」
いったん言葉を切り、分が悪そうにうつむいた彼女の助け舟となったのは以外にも先ほどまで黙って
俺たちの会話を聞いていた魔導の少女だった。
突然の彼女の言葉に「え?」と2人で返してしまった。こう言っちゃ失礼だが、戦うことも出来ない者を
、ましてや敵か味方かもはっきりしようとしない者を共に連れて行きたいだなんてぶっ飛びすぎてやしないか?
「私とはかなり違うけれど…何か力を感じるの」
「しかしなぁ……」
「一緒に行かないといけない気がするの。駄目かしら?」
「う〜ん……」
敵かもしれないと言おうとしたが…やめておこう。
実際、ここに来るまでに何度かモンスターと遭遇したが、彼女は剣すら扱えない…持ってもいなかった。
もしかしたら人工的な魔導士なのかも?とも一瞬考えたがそれも無いだろう。
それならなにかしらその証を見せるだろうし……
まあ、それ以前にフィガロやリターナーなどの場所で怪しい行動を取るようなことがあれば…
そのときはそのとき…だな。
「ま、ここで捨てていくわけにも行かないしな!共に行こう!」
「うん!」
「よかった……」
これからどうなるかは誰にも分からないけれど、退屈な旅にはならない。
そんな気がした。
それぞれの荷物を手に俺たちはナルシェを後にした。
あ、でもちゃんと1時間休んだぜ!!
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2007年4月22日 ILLUST BY/ふるるか